小樽市指定管理者である株式会社小樽水族館公社(祝津3・磯谷揚一会長)では、2022(令和4)年度の鰊御殿の営業を4月9日(土)から開始した。
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、換気や消毒などの対策を徹底し、昨年より1週間ほど遅い営業開始となった。今年も鰊漁が全盛だった頃の雰囲気を味わう半纏や着物の着付けは中止とした。
この建物は、1897(明治30)年に、鰊漁で栄華を極めた田中家初代当主の田中福松が、西積丹の泊村に建てた御殿を、1958(昭和33)年に1ヶ月がかりで解体し、トラック50台で現在の位置に移築。64年が経ち、祝津地区を代表する観光資源となっている。
1960(昭和35)年5月31日に、北海道有形文化財・にしん漁場建築として、北海道の民家としては初めて文化財に指定されている。
一部2階建ての総面積は611.9㎡もあり、明治時代の原形をとどめ、現存する建物の中で大規模。東北地方の切妻造の民家様式で、貴重な漁場建築を残してい
る。
営業開始に先立ち、同公社の磯谷会長をはじめ、公社職員・渡部一博小樽市産業港湾部長・産業港湾部観光振興室職員・鰊御殿職員らが出席し、オープンセレモニーが開かれ、神棚に向かい安全を祈願した。
磯谷会長は、「指定管理者を受けて18年。小樽・祝津を楽しみにしているお客様に1人でも多く来ていただきたい。お客様の安全安心を確保し、寛いでいただける場所として、おもてなしの心でお迎えできれば」と挨拶。
渡部部長は、「鰊御殿が建つ日和山も日本遺産の構成文化財となり、こうした歴史のストーリーを活用して観光振興に繋げたい」と述べた。
日本遺産「北前船寄港地・船主集落」認定記念パネル展や鰊漁の仕組みを模型により再現したり、明治後期に作られた鰊漁場の実測図の展示、当時鰊漁で使用した道具の鰊刺し網や、鰊を運搬するための道具・背負い箱の沖あげもっこ、もっこで鰊を運んだ回数や出荷した加工製品の数を把握するために使用した札(万棒)なども展示。
職員が常駐し、希望があれば館内案内や質問等にも対応。寒さ対策として手編みの足カバーも用意され、自由に借りて館内を楽しめる。
4月9日(土)~10月16(日)9:00〜17:00、10月17日(月)~11月23日(水・祝)9:00〜16:00
入館料:一般300円、高校生・市内在住の70歳以上150円、小中学生無料。
20名以上団体:一般240円、高校生・市内在住の70歳以上120円。
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