小樽の春の風物詩のひとつ、石狩湾で見られる上位蜃気楼(通称:高島おばけ)が、4月5日(火)に今シーズン初めて観測された。(写真・動画提供:小樽市総合博物館)
蜃気楼は、温度の異なる空気の境界で、光が屈折するために遠くの景色が通常とは違って見える現象で、上位蜃気楼は、上方に反転像が見え、限られた地域で年に数回しか観測されていない珍しい現象。
5日(火)は、道内の広い範囲で暖かい日となり、5月下旬並みの気温となった小樽市内では、16:15頃、朝里から石狩市厚田方向に航行する船の変化や、対岸の景色がバーコード状に見える上位蜃気楼が初観測された。
観測に成功した小樽市総合博物館(手宮1)の大鐘卓哉学芸員は、1998(平成10)年から石狩湾に出現する高島おばけ(上位蜃気楼)の研究者で、同氏にとって観測以降、最も早い4月5日の観測に成功。
これまでは、1998(平成10)年4月10日が、蜃気楼シーズンの最も早い初観測と記録されている。
昨日は、小樽市や手稲山口の気温がぐんぐん上昇し、海水温との差や風向きなど様々な条件が重なり蜃気楼が発生。規模は朝里から30km先、双眼鏡で確認できる小規模なもの。
16:06に航行している船が縮み、16:12に船が大きく伸び、16:19に海面が伸び上がって見えるエリアに船が進むと、船は海面に隠れているかのように見え、短時間での変化が見られたという。
同氏は、「昨日は、気温が高かったことが要因のひとつ。感染対策をしっかりとして、蜃気楼観測を楽しんでください」と話した。
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