市立小樽文学館(色内1)では、イベント名が伊藤整(1905〜1969)の詩集「雪明かりの路」に由来していることから、2月の小樽雪あかりの路の開催に合わせ、同氏の作品などを紹介するミニ展示を開催している。
今年も同イベントは大幅な縮小となったが、同館では、例年通り2月5日(土)〜20日(日)に、カフェスコーナーで雪あかりミニ展示を開く。
伊藤整は、松前郡炭焼沢村(現松前町)に生まれ、翌年には、忍路郡塩谷村字伍助沢番外地に移転し、上京する23歳までを過ごしていた。
塩谷の風景は特に思い出深いものだったことが、作品などから伺い知ることができる。
詩集「雪明かりの路」や「冬夜」にも小学生の頃の思い出を歌った詩が見られ、1939(昭和14)年「幽鬼の村」では、塩谷が最も重要な場所として取り扱われている。
登場人物の伊藤ひとし、のちの鵜藤つとむは、まさに同氏であり、幻想小説の中で塩谷に戻り、そこには懐かしいオルガンの音が聞こえ、実在する先生も登場している。
同氏は、通っていた塩谷小学校の校歌を作詞し、多くの後輩たちに歌い継がれてきた。5番の歌詞には「学を終え別れゆきても 忘れざる時はなからん」とあり、同氏の心情が歌われている。
また、1943(昭和18)年、戦時中の塩谷を舞台にしたとみられる少年小説「雪国の太郎」からも、同氏の小学生時代をしのぶことができ、スキイ(スキー)やそり滑りなどのエピソードが物語として描かれている。
亀井志乃館長は、「伊藤整にとって、小学校時代は人生にとって大事な時代だったことを知ってもらいたい。ぜひ見にいらしてください」と話した。
雪明かりのミニ展示「伊藤整と塩谷小学校」
2月5日(土)〜20日(日)9:30〜17:00
市立小樽文学館(色内1)カフェスベース 入場無料
定休日:2月7日(月)・14日(月)・15日(火)
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