市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリーで、銅版画家大井戸百合子さんの個展「北の市場の女たち」が、1月13日(木)から23日(日)まで開かれている。
チラシにも使用された1982(昭和57)年「冬の坂道」など手宮市場周辺をモチーフにした心和ませる連作、銅版画作品50点を多目的ギャラリーに、出版した絵本「ふゆのいちばへおかいもの」(福音館書店)を含む7冊から原画などを紹介した市民ギャラリー1、北海タイムスや北海道新聞などの新聞、小説・児童書・同人誌の挿絵などの原画、外国での個展開催時の現地新聞記事など含めた市民ギャラリー2に展示。
1981(昭和56)年「秋の市場」は、冬支度の漬物の食材を買い求める人々がひしめき合う様子を銅版画で表現し、登場人物である当時の女性たちの特徴を捉え、手宮市場の中のにぎやかな様子が作品から滲み出ている。
同氏は、札幌在住の全道展や春陽会会員の銅版画家で、新聞や小説の挿絵や絵本作家でもあり、北海道小樽水産高校の美術教師も務めている。
1987(昭和62)年春陽会新人賞を受賞し、1986(昭和61)年絵本「ぼくとアルぺス兄ちゃん」で、厚生省児童福祉文化奨励賞を受賞。1985(昭和60)年にカナダ国立図書館、クアラルンプールやシンガポールなどの海外でも個展を開催。福音館書店から絵本も出版している。
小樽での個展は初めてで、銅版画歴50年の集大成として、手宮市場に通って取材したインパクトのある作品が会場を埋め尽くした。
銅板を版材とし図柄を描き、溝の部分のインクが紙に転写される凹版が特徴。会場には、銅板と道具も展示紹介されている。
大井戸さんは、「手宮市場の連作を手掛けたのは、小樽全体の町を見た時に、市場周辺から町の一体感を感じ、古い伝統的な雰囲気が強く残り魅力を感じ、何度も訪れて取材した。小樽市民に見ていただきたい」と話している。
大井戸百合子銅版画展「北の市場と女たち」
1月13日(木)〜23日(日)9:30〜17:00(最終入館16:30)
市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリー 入場無料
会期中の12:00〜17:00に大井戸氏在廊。