小樽潮見台中で道徳特別授業 京谷和氏体験談

 北海道教育委員会の子どもの心に響く道徳教育推進事業の一環として、12月14日(火)、小樽市立潮見台中学校(潮見台1・加藤俊明校長)では、全校生徒約150名を対象に、車いすバスケットボール日本代表ヘッドコーチ・京谷和幸氏が自らの体験談を交え、失敗を恐れずに努力する大切さを語った。

 

 同教育委員会は、豊かな心を育む道徳教育の充実を図るため、様々な分野で活躍している人を外部講師として、道内各小中学校へ派遣している。

 

 今回は、困難を乗り越え社会で活躍している同氏を招き、くじけないで努力することや友人等多くの人と支え合うことの大切さ、目標を持って粘り強く取り組もうとする態度を育成する目的で開かれた。

 

 室蘭出身の同氏は元プロサッカー選手で、交通事故で下半身不随となり車いす生活を余儀なくされ引退したが、車いすバスケット—ボール選手となりシドニーパラリンピックなど4大会に連続出場。引退後は、車いすバスケットボールの指導者となり、2020(令和2)年からはヘッドコーチに就任。

 

 東京2020パラリンピックでは、決勝戦でアメリカと対戦し、日本で男子初の銀メダル獲得へ導いた。

 

 生徒を前に、「やりたいと思ったことを口に出すことで、プロサッカー選手の夢を実現できた。サッカーができなくなった時に、様々な声を聞き腹が立ったが、車いすバスケで失ったものを取り戻したいと思い練習に打ち込んだ。

 

 日の丸背負って戦ったらJリーガーと同じ土俵に立てると思った」と、2000(平成12)年シドニーパラリンピック出場を目指したという。

 

 ディフェンスのスペシャリストになろうと、補欠の補欠で出場のチャンスが訪れた。そこでアピールでき、強化スタッフから合宿の案内をもらい更なる努力が始まった。シドニーパラリンピックではオーストラリアと対戦し、大歓声の中、出場できた達成感を得て、これからの人生、目標を持ち続けようと決めた。

 

 サッカー指導者ライセンスを取得し、2013(平成25)年には大学の外部コーチに、2015(平成27)年からは、車いすバスケットボール男子日本代表ヘッドコーチ、同U23男子日本ヘッドコーチも務めた。

 

 同氏は、「夢を持って行動し目標に変える。失敗を恐れずに一歩踏み出す。失敗は成功のもと。夢には出会いがありチャンスがある。チャンスがある出会いを増やしてもらい、ひとつひとつに感謝の気持ちを持ってもらいたい」と締めくくった。

 

 講演後、バスケット部男女5名がシュートを体験。同氏が生徒を励まし、全員シュートを決めて終了。

 

 2年生の石田柚稀さんは、「チームでひとつの目標を持つことが大事だと聞き、女子バスケ部のキャプテンとして部をまとめていきたい」と話した。