岩内出身の詩人・沙良峰夫展 市立小樽文学館

 市立小樽文学館(色内1)では、岩内出身で28歳の若さで亡くなった大正時代の詩人・沙良峰夫の生誕120年に合わせた企画展を、10月2日(土)から開催し、あまり知られていない同氏の多才な才能と生き様を紹介している。

 

 同館ができた頃に寄託された家族写真や上京後の写真、自筆の原稿、小学6年生頃に書いた絵、詩集など貴重な資料を中心に展示紹介。

 

 同氏は、1901(明治34)年に、当時の富豪番付に横綱に名をはせる梅澤家の一族の母(岩内町)と医者である父の間の4人兄妹の長男として生まれた。父は6歳の時に、母は12歳の時に死別。

 

 医者を目指すも画家の道に進み、札幌一中を中退して上京。フランス語や英語を学び、太平洋画家研究所に通い画学生となる。当時の詩人としては有名な西條八十にや川路柳虹を師と仰ぎ、様々な詩誌に作品を発表した。

 

 本名は梅澤孝一で、ペンネームの沙良峰夫は、画家のミュシャがポスターのモデルに起用したフランスの女優サラ・ベルナールから名付けた。

 

 土方与志と小山内薫が、1924(大正13)年6月に、日本で初めて新劇の常設劇場・築地小劇場を開設した頃から、土方夫妻とも交流があり、演劇の世界にも興味を示した。

 

 1925(大正14)年5月、創刊号「銀座」に、銀ブラの沙良の姿を表現した「銀座の青年の歌」を発表。銀座のカフェの常連ともなり、鼻つまみ(嫌われ者)番付には堂々たる関脇に君臨している。

 

 1927(昭和2)年、のちに箕作秋吉が作曲した「悲歌」の詩となる「海のまぼろし」を発表。その後、病気静養のため岩内に帰郷。翌年の1928(昭和3)年に上京するが、同年3月に発病し5月に28歳の短い生涯を閉じた。

 

 1966(昭和41)年に岩内町雷電に沙良峰夫詩碑を建立。翌年、「華やかな優鬱 沙良峰夫詩集」を200部刊行し、沙良峰夫研究家で甥にあたる平善雄が刊行する同人雑誌「岩内ペン」で、1977(昭和52)年と1990(平成2)年に沙良峰夫特集を組んでいる。

 

 生誕120年を記念して、2021(令和3)年10月に、同郷の詩人で美術評論家の柴橋伴夫氏によって「絢爛たる詩魂 沙良峰夫」を出版。

 

 亀井志乃館長は、「短い生涯だったが、ものすごく才能と可能性を秘めていた若い詩人の、この世に残したいろいろな輝きを、ぜひ見に来ていただきたい」と来館を呼び掛けた。

 

 生誕120年大正期を疾風した多面体 詩人沙良峰夫展
 10月2日(土)〜11月28日(日)9:30〜17:00(入館〜16:30)
 市立小樽文学館(色内1)2階展示室 月曜日・11/4(木)・24(水)休館
 観覧料:一般300円、高校生・市内70歳以上150円、中学生以下無料

 

 記念公演会パート1「沙良峰夫とその時代」
 10月16日(土)14:00〜16:00 市立小樽文学同館2階古本コーナー
 講師:柴橋伴夫(詩人・美術評論家)
 要事前予約 0134-32-2388 市立小樽文学館

 

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