小樽市立潮見台中学校で日本遺産出前授業

 10月5日(火)13:35〜15:25、総合的学習の時間を活用し、小樽市立潮見台中学校(潮見台1・加藤俊明校長)の2年生50名を対象に、炭鉄港と北前船等に関する出前授業が行われた。

 

 延期となっていた宿泊研修が、7日(木)から実施されることになり、事前学習も兼ねふるさと学習の一環として実施。

 

 講師は、小樽商科大学グローカル戦略推進センター研究支援部門地域経済研究部の高野宏康学術研究員が務め、今回の出前授業では「北前船 ニシンと小樽・石狩」、「炭鉄港と小樽・空知」について語った。

 

 同氏は、北前船の里・石川県加賀市橋立の出身で、様々な場所で、日本遺産に関する講師を務めている。曾祖父以前は、北前船の船乗りだったという。

 

 北前船は、江戸期から明治後期にかけて、主に蝦夷地(北海道)と上方(関西方面)を往来していた。船主が商人となる「買積み」が中心で、北海道のニシン粕などを他地域で売り、難船のリスクがあるが大儲けした。船に積まれた品々は、北海道の生活を支え、来航禁止が解かれた石狩市内では、厚田・浜益・石狩が寄港地となった。

 

 小樽市では、北前船主が運んだ物品の保管や取引場所とした大規模な倉庫群、北前船主や船乗り・商人が利用した旧魁陽亭・航海の安全を祈願し奉納した船絵馬など、石狩市では、福井県産の石でできた狛犬、料亭割烹金大亭など、北前船が色濃く残っている。

 

 石炭の空知、鉄鋼室蘭、港湾の小樽が鉄道によって繋がり、くりひろげた北の産業革命「炭鉄港」の歴史を、食べ物から理解することもできると、炭鉄港グルメ「ぱんじゅう」や、市場で仕入れた新鮮な魚介類を売り歩く行商のガンガン部隊を紹介。

 

 旧手宮線及び付属施設の国の重要文化財機関車庫や、満州から引き揚げた人が集まった中央市場、北防波堤や北炭ローダー基礎などの構成文化財も解説した。

 

 高野研究員は、「炭鉄港ストーリーを通してみると、さらに面白さが見えてくる。奥深い小樽を知る役割もあり、室蘭・空知と繋がっていることが分かる」と話した。

 

 受講した生徒は、「小樽と石狩と空知を繋ぐものを先生から聞いた。小樽には、歴史的背景がある素敵な町だと実感した。とても勉強になった」と話した。

 

 6日(水)は10:50から12:40まで、アイヌ文化活動アドバイザーの中原直彦氏が講師を務めた。