文化庁が新設した日本遺産の候補地域として、日本遺産審査・評価委員会の審査を経て、小樽市の「北海道の心臓と呼ばれたまち・小樽〜“民の力”で作られ蘇った北の商都〜」が認定され、7月16日(金)14:00から同庁HPで公表された。
文化庁によると、候補地域には20件の申請があり、小樽市と千葉県(富津市・鋸南町)、京都市の3件が新たな候補となった。
一度は逃した日本遺産の認定への希望を掴み、これから3年間の活動が正式認定への鍵となる。
地域の歴史的魅力や特色をまとめたこのストーリーは、地域型の2020(令和2)年度の日本遺産認定を逃してしまったが、再チャレンジの機会があることを知り、まちづくりに関する運河保存運動の内容を厚くし、早い時期から準備を進め3月23日に再申請した。
市観光振興室日本遺産担当の田中洋之主幹によると、小樽市日本遺産推進協議会(ストーリー検討ワーキンググループと地域活性化計画検討ワーキンググループ)で検討を重ね、まちづくり運動の小樽運河保存運動を経て民の力によるまちの再生についてや、人材育成・普及啓発・調査研究など12の事業などを盛り込み、3年間の準備期間で事業に取り組む。
田中主幹は、「一度は逃してしまったが、再チャレンジして良かった。その後の小樽の動きも早かった。北前船と炭鉄港の2つの日本遺産は、小樽の再生の歴史「北海道の心臓と呼ばれた町小樽」のストーリーに内包されていると感じている」と話した。
当初からストーリー検討ワーキンググループ委員で、小樽商科大学グローカル戦略推進センター研究支援部門地域経済研究部の高野宏康学術研究員は、「地域型日本遺産申請時からストーリーを繰り返し検討してきたが、文化庁の評価を得ることは難しかったので、今回『候補地域』に認定されたことの意義は大きい。小樽には奥深い歴史文化があり、文化財が豊かであるが、いろいろ有りすぎて、小樽がどのようなまちであるかを説明するストーリーを、市民が共有できていたとはいえない状況であった。今回認定されたことで、小樽の軸になるストーリーができ、とても嬉しい。
ただ、小樽市民全体に、歴史文化を活かしたまちづくりのという理念が浸透しているとはいえない状況であり、石造倉庫など、小樽のかけがえのない文化遺産が次々と失われていく状況が続いている。正式認定のハードルは高く、『候補地域』のストーリーと文化財を活かした保存・活用事業をどのようなかたちで具体的に展開していくかが課題といえる」とコメントを寄せた。
また、日本遺産「荒波を超えた男たちの夢が紡いだ異空間〜北前船寄港地・船主集落」の構成文化財の船絵馬群に、既に認定されている恵比寿神社2面と龍徳治金毘羅殿8面に加え、徳源寺龍神堂(塩谷)3面と塩谷神社の30面が追加された。
◎令和3年度における「日本遺産」の候補地域の認定及び総括評価・継続審査の結果の発表について(外部)
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