小樽市消防本部では、現在5名の女性消防士が勤務しているが、このうち、富良野出身の大津賢子さん(23)と小樽出身の杉山彩さん(23)が、2021(令和3)年4月から後志初の女性救急隊員として、今年春に完成した新庁舎手宮支署(手宮1)に配属された。
大津さんは、小樽の高校へ通っている時、女性消防士の募集を知り、見学後に入りたいと決め、杉山さんも、公安の仕事をしたいと思っていて、市内で初めて女性消防士の採用があると聞き受験。ともに、2017(平成29)年に同消防本部初の女性消防士に採用され、今年で5年目に入った。
これまでの4年間、厳しい職務に全力で向き合いながら努力を重ねてきたが、幼い頃からの人命救助の仕事に就きたい思いがあり、救急隊員として専門知識や技術を習得し、的確な活動ができるよう、北海道消防学校救急科に入校し、7週間のカリキュラムを学び配置された。
大津さんは、「3名が乗車して出動するが、100kgを超える人だったりすると消防隊の支援を呼ぶが、その際、自分の力不足を感じてしまうが、厳しい職務ではあるが、人命救助に憧れ、直接、傷病者に係る救急隊となり、搬送した後にありがとうと言われ嬉しかった」と大変な中に喜びを感じている様子。
杉山さんは、「身長が低いこともあり、男性との体格の差を感じ、訓練をして自分にあった良いポジションが見つかるまで大変だった。消防隊の時よりも女性の患者さんからは、女性同士の方が良く求められる瞬間を感じた」と、大変な仕事さを語った。
今後、さらに経験を積んで、要救助者はもちろんだが、その家族にも安心してもらえる隊員になりたいと語る大津さん、未熟な知識を克服するためもっと勉強したいと杉山さんも、努力を惜しまない。
先月は、40回出動したという大津さんは、どんな状態でも救助に行きますと、市民に安心感をアピ—ル、女性にしか言えないこと、女性だったら話せることに対応できればと、杉山さんらは、救急隊員として日々の任務に励んでいる。
4月から共に働いている吉田有宏貴隊長は、「不安がっている傷病者の声かけや家族に対する説明など、女性の方が長けていると感じた。
まだ3ヵ月が過ぎたばかりで、症例が少ないが、婦人科の疾患・出産といったものも出てくると思うが、力になると思うので期待している」とエールを贈っていた。
竹鼻真司隊長は、「救急を呼ぶ人は、本人も家族も不安になっているが、女性だと話やすく落ち着いてもらえると感じた。体格差の面では、身長や力に差があり、乗り始めの頃は、2人とも大変に感じたと思うが、そこを、どうしていけば安全に活動できるか訓練しながら考えて活動している。
男性職員にとっても活動を見直す機会になって良かった。年数が経つと、もっと自信を持って活動できると思うので、引っ張っていける存在になれると思う」と期待した。
コロナが発生する以前よりも、完全に防止するため装備も厳格に取り扱い、今後、暑さも加わり厳しい状況となるが、感染対策は十分している。
手宮支署の松山亨課長は、「2017(平成29)年度に、小樽市に初めて女性が採用され、女性目線での活動や考え方が、見直すことにも繋がり、まさに組織を活性化させる。
今後、大きな災害が起きた場合に、避難所がかかわってくるが、避難者には女性もおり、女性特有の問題の発生にも、女性隊員が要望をくみ取り、困った人のそばにいて安心してもらえると思う」と、期待を寄せた。
消防庁は、市町村及び各消防本部に対し、女性消防吏員の計画的な増進の確保を要請し、消防全体として女性の占める全国比率を、2026(令和8)年度当初までに5%に引き上げるをこと共通目標とし、小樽での目標値は10人としている。
小樽市消防本部では、職員数254名のうち女性消防吏員は5名で、この5名のうち救急隊は2名のみ。2021(令和3)年4月1日現在で、女性消防吏員は、後志管内(小樽市を除く)での採用はない。