新型コロナ感染拡大防止のため閉館していた市立小樽美術館(色内1)では、5月22日(土)から開催していた企画展「北海道の日本画家たち 小林コレクションⅡ」を、緊急事態宣言が解除された6月21日(月)に再開した。
筆谷等観(1875-1950)をはじめ、北海道の日本画家17名の作品60点を一堂に鑑賞できる貴重な機会となっている。
札幌在住のコレクター小林氏が、四半世紀に渡り愛情深く集めた、北海道にゆかりのある優れた日本画家作品120点を、2期に分けて展示紹介している。
第1期は、北海道に画壇が形成される以前から太平洋戦争後の現代日本画界を華やかに彩った画家たちの作品を集め、第2期は、北海道から東京・京都を目指して旅立ち、院展・帝展(のちの文展・日展)に挑戦し実績を残した、北海道には帰らず開拓精神に富み、道民にも誇りに思える画家の明治から現代に至る、小林コレクションの中から選りすぐりの作品。
小樽出身の画家として、中央画壇に最も早く登場した日本画家・筆谷等観の作品が1/3近くを占めている。
同氏は、19歳で上京して横山大観に師事。東京美術学校に進み、橋本雅邦に師事し、伝統的な狩野派の画法を学んだ。
梅の精の「羅浮仙人」では様々な作品を残し、同館収蔵の作品と合わせて展示。
没後30年、札幌出身の菊川多賀(1910-1991)の作品「舞妓」は、今回のチラシの表紙にも使われ、初期作品の若さが溢れた作風の「舞妓二人」から、その後の作品に変化があり、会場で見比べることができる。
戦前は美人画家であった、小樽出身の田中針水(1902-1979)は、戦後、自身の娘や息子をモデルに子どもを、晩年は孫を描き、多くの作品を残し人気を集めた。三越や高島屋の広告にも使われていたという。
森田沙伊(1898-1993)は、日本画の中に油絵の洋風表現を取り入れ、現代の視点を日本画にもたらした人物。混ぜなければ作れない独特な色使いも特徴。
日本画は、花鳥風月を題材にしている作品が多いが、ここでは、仏画から羅浮仙・舞妓など、個性豊かな画風を開花させている。
星田七重学芸員は、「日本画の展覧会自体があまりなく、特別展として、日本独自の余白の美を感じ取ってもらいたい」と話している。
北海道の日本画家たち 小林コレクションⅡ
5月22日(土)〜8月9日(月)9:30~17:00
市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室
月曜日・7月27日(火)・28日(水)休館
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