潮風にいだかれて〜染と織 寺岡和子の世界展

 市立小樽美術館(色内1)1階市民ギャラリーを染織工芸品で彩る、「染と織 寺岡和子の世界展 潮風にいだかれて」が、4月28日(木)から始まり、会場には、朝から同窓生や知人らが来館し、織物の世界を楽しんでいた。

 

 小樽在住の染織工芸家寺岡和子氏は、小樽市教育委員会の推薦を得て、2020(令和2)年度北海道文化財団「ものづくり 一本木選奨・地域貢献賞」を受賞し、それを記念して、染織工芸家としての歩みを、同館収蔵作品や最新作まで(1983~2012年)のタペストリーやベストなど約30点とともに紹介している。

 

 同氏は小樽市に生まれ、母の母校である女子美術大学で芸術学部工芸科を専攻し、染と織の技を磨き、造形美術作品を国画会展・全道展・現代工芸展等に出品。

 

 1982(昭和57)年に染織アトリエKazu手織教室を開設。2年後に、北海道女流工芸一の会を設立した。1987(昭和62)年に堺町におたる織物株式会社を設立し代表取締役社長を務める。2008(平成20)年には、北海道女流工芸一の会会長に就任。常に高い作品づくりに励み、染織の分野を背負う存在で、グループ展・職人展・北海道物産展などに多数出展し、ビジネスとしても展開中。

 

 同氏の作品は、染めて紡いだ糸で織るすべて手作りで、これまでの技術とセンスが活かされている。多彩な色に染められた糸を使い、海の青や木々の緑などのテーマにあわせ、独特な織り方により生まれた大作がずらりと並び、見応えのある展覧会となった。

 

 雪原や氷華をイメージした「氷華」(1980年)や「北」(1983年)、「白と黒」(1986年)は同館収蔵。

 

 亡くなった長女を偲んで織った「流れ」(2008年)、北の大地に流れる水の紋様を神秘的に表現した「水の流れ」(2005年)は、幅95cm・長さ508cmもの大作。


 
 後向きになったり弱気になった時に鑑賞したい「導」(2003年)は、「行け!」と強いエネルギーを感じ、朝目覚めて今日も元気に頑張ろうとした活力が沸く「朝の風に」(2019年)など、制作した時々の作家の気持ちを作品に表現している。

 

 寺岡氏は、「小樽に住んでいてもこの織物について知らない方も多い。ぜひこの機会にご覧いただきたい。作品を見て、自由に思い感じていただければ」と、来館を呼びかけた。

 

 染と織 寺岡和子の世界展 潮風にいだかれて

 4月28日(水)~5月9日(日)10:00~17:00(最終日16:00)4月30日・5月6日・7日休館

 市立小樽美術館(色内1)1階市民ギャラリー 入場無料

 ◎染織アトリエKAZU(外部)

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