冷え込みが厳しい冬の現象のひとつ「けあらし」が、1月24日(日)早朝から午前中にかけ、小樽周辺の海岸で確認され、水面に霧(湯気)が立ち込める幻想的な光景に包まれた。
23日(土)から24日(日)にかけて−9℃前後の厳しい寒さに加え、晴れた夜に地面の熱が奪われる放射冷却現象が重なり、24日5:48には−10.6℃の最低気温を記録した。
けあらしは、気象用語で「蒸気霧」と言い、厳しい冬の早朝に、陸上の冷たい空気が海へゆっくりと流れ出し、海面の水蒸気を冷やして蒸発させ湯気のように見える現象。
小樽では、石狩湾を見渡せる高島海岸でも確認され、朝日が昇る前、水平線や対岸の建物が見えないほどの霧が立ち込め、沖の方から岸へ向かってどんどん押し寄せてきた。その光景の中、漁船の船体が見え隠れしながら、水面を勢い良く走行していた。
小樽の日の出時刻は6:58だったが、霧で日が昇る光景は遮られ、上空に昇った頃、うっすらと太陽が顔を出し始めた。その頃から、さらに霧が濃くなり一面に広がった。
市街中心部へ向かうと湾内には霧が見えなかったが、再び祝津方面に戻ると、霧が海岸を越えて陸上へも流れ、祝津パノラマ展望台からはトド岩もうっすらと見えるだけで、日和山展望台は見えなかった。
いつもと違う景色だと異変に気づいた梅ヶ枝町在住の山吹和康さんは、カメラを持って近所の高台から霧に包まれる光景を撮影し、小樽しりべしシニアネット(OSS)のメーリングリストに投稿している。
小樽市総合博物館の大鐘卓哉学芸員も、張碓海岸や東小樽海岸でけあらしを確認し、「石狩平野の空気が放射冷却現象により冷やされ、その冷えた空気が石狩湾に流れ込み、温かい海の上に冷たい空気が流れ、湯気が現れた。今回は濃い湯気が見えた」と話している。