小樽美術館 輪島進一展「バレリーナを描く」

 市立小樽美術館(色内1)1階多目的ギャラリーで、1月24日(日))まで、バレリーナをモチーフに時間を表現した200号の大作など11点を展示した、輪島進一展“バレリーナを描く-身体と時間表現”が開かれている。

 

 輪島氏は、1951(昭和26)年函館市生まれ。高校大学と教鞭を執る傍ら、精力的に創作活動に励み、20歳代中ばから独立展で華々しい受賞歴を持つ、実力ある画家で、独立美術協会会員や全道展会員などを務める。

 

 1998(平成10)年小樽桜陽高校に赴任し小樽に移住、2002(平成14)年までの5年間を過ごした。手宮地区に住んだことから、古い町並みをデフォルメして描いた作品「手宮心象」や、雨の日に散歩した時に、雨と晴れ間が覗く短い変化を表現したという、運河裏通りの倉庫群を描いた「雨あがる」がある。

 

 輪島氏にとってのバレリーナとの出会いは、20歳代の頃、函館のバレエ教室で小さなデッサンを描いたのが始まりで、動いているものに興味があり、人の動きをテーマに時間を絵画に表現した。

 

 小樽に赴任してから2年ほど過ぎた頃、直江博子創作バレエ研究所との出会いが、バレエを題材にした代表作を生み出すきっかけとなった。

 

 本番の観客席よりも舞台裏やリハーサルをねらい、出番を待つ緊張感溢れるバレリーナの心情を捉え表現した「フーガ」は、幕が上がる前のひとりひとりの表情がありのままに描かれている。

 

 厳しい訓練に耐えている姿に感動した同氏は、スピード感の中にしなやかさを合わせ持つ線描により、臨場感漂う作品「オブリガード」など、バレエの魅力を最大限に伝えている。

 

 輪島氏へ快く取材の機会を提供した同研究所主宰の上野亜希子氏は、幼少から母直江博子のもとでクラシックバレエを始め、1986(昭和61)年から同研究所で本格的に指導を引き継ぎ、子どもから大人までを指導し、創作バレエの演出振付を手がける。

 

 上野氏は、輪島氏との出会いを振り返り、「市民センターマリンホールでの発表会で演目はコッペリア。スタジオでの稽古や本番の日の楽屋でのバックステージの様子が描かれ、バレエは写真や映像で観たことはあったが、絵画では初めてで、このような表現があるのかと驚き、そこに戻れるほど臨場感に溢れていた。いつも取材でどこを見ているのか楽しみにしていたが、描かれた人物は本人そのもの。後姿や癖なども鋭く捉えて描かれ、1枚の絵の中に時間の経過と動きの表現に、本当に感動した」と話した。

 

 最近のテーマについて同氏は、「演奏しているピアニストを題材に描いていたが、昨年から、コロナの影響で描きたいものが別に見つかり、作品作りをしているところではあるが、人の動きをテーマにしたバレエなどに戻りたい」と話した。

 

 輪島進一展 バレリーナを描く-身体と時間表現

 1月16日(土)~24日(日)10:00~17:00 観覧無料

 市立小樽美術館(色内1)1階多目的ギャラリー 月曜日休館