北海製罐小樽工場第3倉庫保存へ 活用会議発足

 

 

 小樽市歴史的建造物に指定され、北運河のシンボル的存在である株式会社所有の小樽工場第3倉庫の保存活用に向け、小樽商工会議所(山本秀明会頭)と小樽観光協会(西條文雪会長)が主体となって民間組織「第3倉庫活用ミーティング」を発足。

 

 1月14日(木)10:00から、倉庫内部見学会と併せ第1回目の会合を開いた。

 

 同会議所を事務局に、建造物に詳しい北海道職業能力開発大学校駒木定正特別顧問を座長に、小樽市総合博物館石川直章館長など12名と、市総務部企画政策室林昭雄室長など6名のアドバイザーを選出した。

 

 同建物は、1924(大正13)年に建造され、鉄筋コンクリート造地上4階建・敷地面積約2,745.27㎡・建物全長約100m・最大幅約20m。

 

 鮭や鱒の缶詰用の缶を保管する倉庫だったが、数年前から倉庫としての使用頻度が少なくなり、老朽化も激しく解体を検討していることを知り、保存を望む市民からも多くの声を聞き、迫市長が本社を訪問。昨年10月末に解体を1年程度先送りすることになった。

 

 駒木座長の案内で、同倉庫1階と2階部分の見学会が行われた。3階と4階はエレベーターの凍結により今回は断念。日頃、外観は見られるが、内部は未公開のため、初めて倉庫内部に踏み入るメンバーも多かった。

 

 ミーティングは、同社小樽工場事務所棟会議室で行われ、迫市長は、「北運河地区は、旧小樽郵船や日本遺産構成文化財の倉庫が立ち並び、回遊性を高められる。保全活用に向けて何とか残せればと思う」、山本会頭は、「北運河の中の製罐の倉庫は、運河と一体となった景観がシンボリックな建物。物心ついてから当たり前の景観で、なんとか保存活用したい思い。先を見据えてしっかりとした議論が大切」と述べ、西條会長は、「観光のため、第3倉庫を含めて良いきっかけ作りになれば」と期待を寄せた。

 

 現在、コンクリート・鉄筋等建物の劣化具合に関して不明なため、クラウドファンティングによる資金を集め、4月から3ヶ月間かけて劣化調査を行う予定。

 

 同倉庫の保全・活用に向け、市民の意識の醸成を図り、広くアイディアを募りながら、保全と活用の方向性をとりまとめ、小樽市に提案することを目的として、2~3月の月2回のコア会議を実施。

 

 保全・活用が大前提の民間を活用し、行政に多額の負担となるようなプランは考えず、現状の土地利用規制は考慮せず、最終的にある程度実現性のある案をまとめ、事業手法も合わせて提案するとした。

 

 また、3月末には、第1回オープン勉強会を開き、同倉庫の歴史や建物としての特徴を駒木座長が解説し、意見交換を行う。コロナ禍のため定員25名とし、来場できない人向けにyoutube等でライブ配信する。

 

 2月の小樽雪あかりの路に合わせたライトアップは、インスタレーションやプロジェクションマッピング、メディアアートなどアート系で活躍している福島工務店の福島慶介氏に相談し、魅力的なライトアップを考えている最中で、小樽潮まつり時にもシンポジウムを企画している。

 

 駒木座長は、「9・10月に会社に考えを提出し、今までにないオール小樽で提案できる絶好の機会。市民にとっても良い町かを含め、目処は9月頃までにまとめたい」と話した。