小樽商科大学3年・石川朋佳さん(21)は、市立小樽美術館(色内1)1階市民ギャラリーで、小樽を舞台にして自費出版した、作家・三浦群来さんの小説「Invitation」とリンクさせた「おたる写真展」を開催し、市内で撮影した四季折々の写真約80点を展示している。
新型コロナウイルス感染症の影響でほとんどが中止となる中、久しぶりに市民ギャラリーでの開催とあって、早速市民らが訪れ、来館者の1人は「市内の人々に観てもらい、元気になってもらいたい」と話していた。
札幌在住の石川さんは、幌加内の高校に入学し、高校2年生の時にカメラを購入。写真歴は6年目で、同大写真部に入部していたこともあった。
昨年10月に商大写真部の写真展で、三浦さんに初めて出会い、こんなに小樽を好きな人がいるのかと引き込まれ、「思い出もないまま卒業するのはもったいない、写真展を開こう」と、これまで撮影した写真と、本の中の一説を抜粋してリンクさせる写真展を企画。
三浦さんは東京都出身で、文章の綺麗な小林多喜二を知り、多喜二の墓前や文学館に何度も通った。小樽に移住して4年。小樽の歴史や自然をフィクションとノンフィクションを織り交ぜ、家族が再生する物語「Invitation」を、2017(平成29)年8月に出版。2作目を2018(平成30)年5月、3作目を2019(平成31)年6月に出版している。
三浦さんは、「ここに書かれた美しさを写真で表現したいと、名乗り出たのが石川さんで、それを待っていた。何度もミーティングを繰り返し、コロナに負けそうになったこともあったが、こんな時だからこそやろう」と、開催決行に至った経緯を説明。
会場には、業者がプリントした写真を、断熱材を使って様々な大きさで額装し、手作り感を出したレイアウトで自由に展示している。
校内や市内で見つけた桜、学校の帰り道で遭遇した虹、話題となったラーメンなど、四季折々の風景や友人などを写真に収めている。
1年生の春に撮影した商大の桜の写真は、「すべての出会いは必ず緑によって導かれる。どんな必然性があって出会ったのだろうか」と、小説の一説も合わせて紹介している。
石川さんは、「自己満足で撮影した写真から、私の気に入っている気持ちが、観る人にも伝えることができたら嬉しい。小樽にこんなところもあったんだと思ってもらえたら、なお嬉しい。それぞれの感性で楽しんでもらいたい」と話した。
おたる写真展 8月26日(水)~30日(日)9:30~17:00
市立小樽美術館(色内1)1階市民ギャラリー 入場無料