祝津のシンボル的建物の日和山灯台と共に建つ、小樽市鰊御殿(祝津3)が当初の予定を4日間遅らせ、4月8日(水)9:00から、2020(令和2)年度の営業を開始した。
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、市の社会教育施設の7日(火)までの休館に合わせた対応を取り、館内の定期的換気と手すり等の消毒など徹底。
開館に先立ち、運営する株式会社小樽水族館公社・伊勢伸哉社長と職員、小樽市産業港湾部観光振興室職員や鰊御殿従業員らが出席し、オープンに伴う式典を開き安全を祈願した。
伊勢社長は、「無事にオープンできてほっとしている。この先どうなるか不安の中での開館ではあるが、水族館共々、安全対策を十分にとった上で、お客様をお迎えするなんとも相反すると痛感している。こういう時だからこそ、施設に来ていただき、心のよりどころにしてもらいたい。11月まで無事の営業に努めたい」と挨拶した。
産業港湾部徳満部長の挨拶が続き、7都府県に緊急事態宣言が出される中、同館総務部の本間宏信さんは、「小樽市の社会教育施設の再開にあわせ、安全対策に十分配慮し、徹底に配慮したい」と述べた。
同館は、1897(明治30)年に、鰊漁で栄華を極めた田中家初代当主・田中福松が、西積丹の泊村に建てた御殿を、1958(昭和33)年に1カ月がかりで解体し、トラック50台で現在の位置に移築した。
釘を一切使用せず、継ぎ目のない長い木材を使用していたため、その頃の道路状況により夜間に搬送。復元には50日を要し、延べ2,000人が動員され、現在の地にその姿が甦った。
一部2階建ての総面積611.9㎡。北陸・東北地方の切妻造の民家用式が使われ、全盛期には、漁期に120人ほどの漁夫が寝泊りし、それ以外でも越年仕事のため30人は常駐していたという。タモ・セン・トドマツ等の遺産原木や、東北地方から取り寄せたヒノキ等約3,000石(540t)が使用されている。
1960(昭和35)年5月31日、北海道有形文化財・にしん漁場建築として、本道の民家としては初めて文化財に指定されている。
また、日本遺産の認定を受けた「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間(北前船寄港地・船主集落)」の構成文化財のひとつに日和山も含まれ、館内には北前船パネル展も開かれている。
2名職員が常駐して、希望があれば館内の案内や質問等に対応。寒さ対策として手編みの足カバーも用意され、自由に借りて館内を楽しめる。
開館期間:4月8日(水)~10月15日(木)9:00〜17:00、10月16日(金)~11月23日(月)9:00〜16:00
入館料:一般300円、高校生・市内在住の70歳以上150円、小中学生無料。20名以上団体:一般240円、高校生・市内在住の70歳以上120円。
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