市立小樽美術館(色内1・新明英仁館長)では、「小樽・美術家の現在シリーズ テーマ展『風土』」が、10月26日(土)10:00から、同館2階企画展示室で開幕した。
地域によって異なる特色を持った環境としての自然「風土」をテーマに、小樽とその近郊で活躍する現代作家12名が、テーマに合わせた平面・立体作品23点を展示している。
同館は、これまで個人展として、近年活躍している本市ゆかりの現代美術家を紹介。今年度は、新たにエリアを広げ、作家を選定し、臨場感を備えた現代美術作品を一堂に集結した。
開幕と同時に、出展作家6名によるアーティストトークを企画。各々の展示作品の前で解説する貴重な機会とあって、出展作家はもちろん、美術愛好家らも集まり、アーティストの話に熱心に耳を傾けた。
トップバッターの抽象派作家・三浦恭三氏は、無数の生き物の命のどよめきをテーマに3点を出展。石狩湾の海中の生命体を主題に、有機的な形の構成に緊張感と動きやリズムを持たせ、水中・空間での命のうごめきを表現したという。
オリジナル技法の彫刻家・渡辺行夫氏は、オオイタドリを素材に立体作品3点を出展。10年前からイタドリや雑草など、ありふれた植物を素材に作品を発表。雪につぶされたイタドリが、雪解けとともに4月から6月までに4m以上の高さに成長する素晴らしさを感じ、生命力や復活力を表現した。
自然を強く意識した現代美術家の柿崎煕氏は、庭に集まる野鳥とのふれあいをきっかけに、野鳥の観察を通じて力強さに惹かれ、植物の生態ににも目を向け、種子をテーマにした作品を創作。色が邪魔になり光と影で種の浮遊感を出し、林の動植物の生命の一端を感じられればと思うと語った。
上嶋俊夫氏と上嶋秀俊氏親子は共に教師。俊夫氏は、静物と風景画の油彩3点を出展し、秀俊氏は、アーティストトークで、自然の持つ生命感・命のかけらをテーマに、目に見えないエネルギーや生命力などを画面いっぱいに表現したと解説した。
この他、白夜のスウェーデンと太陽が高い同館周辺を水彩色鉛筆で地図のように描いた阿地信美智氏とガラスケース内のインスタレーション作品、円錐形の物体(三角コーン)が発掘された様子を再現したKit- A氏も作品について語った。
出展作品の解説とともに作家の世界にも触れたアーティストトークは、特別展の開幕に華を添えていた。
アーティストトーク第2弾は、12月7日(土)14:00~15:00 同館2階企画展示室で、本日以外の6名によるアーティストトークを予定している。
また、関連事業として、野口花代&hinafetia(ヒナフェティア)によるミュージアムダンスショー「紡ぐーLIVE IN THE MOMENTー」が、11月17日(日)14:00~15:00に2階展示室で開かれる。
小樽・美術家の現在シリーズ テーマ展風土
10月26日(土)~2020年1月12日(日)9:30~17:00
市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室
休館日:月曜日(11/4日除く)・11/5日・6・26・12/29~1/3
入館料:一般600円、高校生・市内70歳以上300円、中学生以下無料