第28回北前船寄港地フォーラム in 北海道小樽・石狩が、10月19日(土)から始まり、13:00からはウイングベイ小樽(築港11)イオンシネマ小樽7番スクリーンで、20日(日)は、祝津パノラマ展望台・石狩湾新港・道の駅石狩「あいろーど厚田」・石狩市花川北コミュニティセンター等で、研究交流セミナーなどが開かれている。
同セミナーは、2018(平成30)年度日本遺産ストーリー「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」に、小樽市と石狩市が追加認定され、全国の北前船寄港地と連携し、地域間交流や地域活性化、観光振興を目的としている。
第1回目は、山形県酒田市で「北前船文化遺産の活かし方」を開催し、全国の北前船の寄港地で開催を続けている。
第28回目のテーマを「北前船往来~日本の繁栄と近代化を支えた絆をふたたび」として、小樽市では第2回全国北前船研究交流セミナーを、石狩市では北前船寄港地フォーラムを開催する。
19日は、予め申込をした一般参加者50名と来賓・関係者等が集まり、ほぼ満席となった。
実行委員長の迫俊哉市長は、「小樽港が開かれ150年、国際貿易港として120年の記念すべき年に、同フォーラムが開催され光栄に思う。かつて日本の繁栄と近代化を支えた北前船によって寄港地が結ばれ、現代は、寄港地を人と人とのネットワーク、そして、絆で繋ぐことで、それぞれの自治体が地域の課題を解決し、地域振興や地域の発展に繋げていこうという思いでテーマを設定した。しっかりと、北前船をキーワードとしたまちづくりを進め、地域の振興発展に努めていかなかればならい。北前船が伝えた歴史文化を、しっかりと次の世代に引き継ぐことが大きな役割のひとつ」と挨拶した。
市立潮見台中学校文化部9名と未来創造高校情報会計マネージメント2年3名が調査した内容を発表。
同中学校文化部は、昨年度に「やってみたいことはなんでもやってみる」部活動を設立し、今年度本格的に活動を開始した。私たちが住む小樽を知ろうと、日本遺産に認定されたばかりの北前船に注目し、北前船とニシンの関係や、北前船の痕跡を身近なところで探そうと、8月半ばからフィールドワークを中心に活動を進めたきた。
「中学生が、見た、知った、考えた北前船」について、今も残る北前船の痕跡について調べるため住吉神社を訪れ、大鳥居の柱に小樽運河周辺に残る倉庫の持ち主・大家七平と廣海二三郎の名前を見つけた。
岡山県産の花崗岩で作られた大鳥居は、1899(明治32)年に大阪から運ばれて建てられ、当時の価格で2,800円。航海の安全を守る住吉神社の神様に、北前船で財を成した兄弟2人で、航海の安全を願い寄進した。北前船船主だったため、大鳥居を同船で運ぶのは可能だった。
水天宮の玉乗り型の狛犬と同神社の石段から、瀬戸内海と北前船で直接繋がっていたことなども分かった。北前船は米を運び、市内にはかつて100件以上の餅屋あったことで、校区の餅屋2店と校区隣の餅屋の食べ比べも行い、小樽の餅の特徴を見つけた。
北前船が運んだ物は、倉庫・神社・狛犬・酒・餅などに形を変えて、身近なところに残っている。北前船は、本州と小樽を繋ぐ海の道だった。校区にある龍徳寺に残る北前船の船絵馬についても調べるつもりだとした。
次に、同高校情報会計マネージメント科2年の松田優衣さんと後藤陽和さん、竹川怜さんが、総合実践の授業で取り組んだ壁新聞やゆるキャラ、関連商品の開発など、北前船を観光資源として活用するアイディアを提案した。
学校祭の来校者に壁新聞を紹介し、投票しコンクールを開催。北前船についてプレゼンをした。改めて、北前船の寄港地が日本遺産に認定された偉大さを確認。
今後の北前船の活用プランについて、ラジコン型の船を製作して参加する「北前船レース」、北前船をモチーフにした「キャラクター」、運ばれた海産物や農産物を使用した商品、各寄港地45ヶ所で販売する「北前弁当」を発表した。
北前船を起点として、北前船の買い積み商法が、鰊を肥料にして本州へ出荷し、本州から渡ってきた様々なものが、倉庫業を生業とした卸売り業を発展させ小樽を大きくしてきたと再認識した。
日本遺産としての北前船を活用することで、小樽をはじめとする45ヶ所の寄港地の活性化にも繋がり、今回の提案が、地域発展の足がかりとなり、今後、北前船の未来をもっと創造していきたいと述べた。
発表を終えた同校3名は、「緊張したが良い経験になった。小樽の活性化に繋がれば嬉しい」と話した。
引き続き、「北前船交易における昆布とニシン粕の役割」について、東京国立博物館・銭谷眞美館長が基調講演し、北前船がまちづくりに果たした役割について、北海道北前船調査会・高野宏康氏、大阪経済戦略局・柏木睦照局長、倉敷市・伊東香織市長が講演した。
◎第28回北前船寄港地フォーラムin 北海道小樽・石狩(外部)