おたる水族館(祝津3)では、5月にネズミイルカのアツコが妊娠しているのが分かり、出産に向け安定した環境を維持するため、飼育展示プール「ほのぼのプール」の観覧を休止して配慮してきたが、9月1日(日)早朝、仔が死亡していたと、4日(水)に発表した。(写真提供:おたる水族館)
酪農学園大学獣医学部で病理解剖したところ、仔の死亡原因は「胎盤の早期剥離による生後換気不全」と判明した。
胎盤が何らかの原因で子宮内ではがれてしまい、予定よりも早くに仔が生まれ、正常に呼吸ができずに死亡したと見られる。
アツコ(推定16歳)は、過去に流産の経験もあったが、2015(平成27)年5月15日(12歳頃)に出産を経験。オス(88cm・10.33kg)が誕生したが、難産だったため、出産時に損傷を受けた肝臓から大量出血が原因でわずか9分後に死亡。
その後、2017(平成29)年5月30日に3度目の出産を成功させ、メスの仔を産んだが、哺乳行動が見られず、人工哺育に切り替えたが、14日後に肺炎で死亡。2年ぶり4度目の妊娠に期待が高まり、8月から9月が出産予定だった。
ネズミイルカは、学術研究目的以外での生体での保持が禁止されているため、国内で、複数での飼育展示は当館だけとなり、北海道大学水産科学研究院と共同で生態を研究している。
担当飼育員によると、「アツコは出産後なので、多少元気がないが、餌も食べている。今後も妊娠のチャンスはあるので、今回のことを糧に、さらなる飼育の向上に努めたい」と話した。
ネズミイルカの展示再開は、アツコの状態が安定してからを予定している。
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