8月30日(金)13:00から厩町岸壁(手宮1)で、留萌沖を震源とする推定マグニチュード7.8の地震を想定した、小樽市防災会議主催の「令和元年度小樽市総合防災訓練」が実施された。
この訓練は、大規模災害に対する各関係機関相互の協力体制の強化と、防災技術の向上及び市民の防災意識の高揚と、防災知識の普及を図ることを目的としたもの。
小樽市防災会議の構成機関をはじめ、陸上自衛隊第11特科隊(真駒内駐屯地)など33機関・284名・車両38台・船舶10隻・ヘリコプター1機が参加し、12項目の大規模な総合訓練を行い、FMおたる放送局は、訓練会場から生中継を実施した。
北海道留萌沖を震源とする推定マグニチュード7.8の地震が発生。小樽は震度6強。この地震の影響で、小樽市沿岸地域に津波警報が発表され、陸上では、市内各地区で木造家屋が倒壊、海上では津波の影響で船舶から重油が流出し火災も発生した。
道路も損壊・亀裂が発生。崖崩れによる土砂の流出により、市内の交通網が寸断、ライフラインにも重大な被害が発生。小樽市長は、災害対策本部を設置し、防災関係機関をはじめ、各機関に応急災害対策を速やかに実施するよう要請した。
津波警報発令に伴い、陸と海から避難指示を広報し、避難誘導を行う中、第一管区海上保安部函館航空基地のヘリコプターによる小樽近郊海域の状況や小樽市内の被害状況等を無線で報告。
同基地と、市消防本部・小樽警察署・小樽海上保安部が連携し、海上漂流者を海中から救助。
市水道局と小樽市管工事協同組合は、断水が発生したとの想定で、組み立て式で移動可能な臨時給水所を設置し、市民に水を配布する応急給水作業訓練を行った。
北海道ガス株式会社小樽支店は、復旧対応の移動式ガス発生設備と供給施設との配管接続作業訓練と仮設供給操作作業訓練を。北海道電力株式会社小樽支店では、低圧発電機車から避難所へ応急復旧送電訓練。トヨタレンタリースは、プリウスからLED投光機へ接続して点灯させた。
船舶から重油流出事故が発生したため、海上保安、市産業港湾部、石狩・後志管内沿岸排出油等防除協議会の協力で、オイルフェンスを張り、吸着マットによる回収作業、国土交通省北海道開発局所属の港湾業務艇「ひまわり」による攪拌処理作業を行った。
土砂災害により交通障害及び負傷者が多数発生したため、市と災害時の連携協定を締結している同隊第11特科隊・日本赤十字小樽市地区・北海道柔道整復師会小樽ブロック・小樽建設部・おたる災害かけつけ隊(小樽建設協会)など、11団体が参加して合同訓練が行われた。
交通を妨げる樹木をチェーンソーで切るなど、ショベルカーも出動して通行を確保した。バスの中の負傷者を救出し、柔道整復師や日赤メンバーによる応急手当を行った。大腿骨を骨折した1名を救急搬送した。
3時間に及ぶ訓練の最後は、海上保安と消防本部、第1・6・9分団の消防団が連携して、船舶火災による救助・消火訓練。逃げ遅れた2名を救助後、船と陸の8ヶ所から一斉に船に向かって放水した。
閉会式では、日栄聡訓練指揮本部長(市総務部長)が結果報告後、小樽市防災会議・迫俊哉会長(市長)は、「地震による被害を受けたライフラインの復旧活動、土砂災害や港湾への油流出など様々なことを想定し、防災関係機関が連携して訓練を行い、迅速かつ的確な行動を目の当たりにして大変心強く思った。
災害はどこで発生するか予測は困難であるため、常に最悪の事態を想定し、様々な災害に対する危機管理体制の強化が重要となる。本日の訓練を踏まえ、市民の安心・安全を確保するために、相互の連携を密にして、様々な災害に備え、日頃から初動体制や避難体制に万全を期してもらいたい」と講評を述べた。
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