市立小樽美術館(色内1)の開館40周年を記念する、特別展Ⅱ「北海道の緑ー佐藤進・佐藤道雄と一水会の画家たち」が、7月20日(土)から企画展示室を会場に開幕した。
北海道の清々しい夏の風景画は、多くの道内出身者に描かれ、士別市出身の佐藤進とその息子道雄親子を中心に、一水会所属の画家・教員をしていた水彩画家11名が、北海道各地の「緑」をモチーフに描いた36点を展示している。
開幕に先立ち、9:15からオープニングセレモニーを行い、学校連携事業の一環として、小樽市教育研究会図工・美術部会の協力の下、市内6小学校350名の児童が描く「葉っぱ」を、省エネの避暑方法として用いられるグリーンカーテンのような作品にして、同館3階から階段吹き抜けスペースに展示、お披露目セレモニーも行われた。
10:00から展示会場で、特別展関連事業の第1弾、出展作家の中村哲泰氏と佐藤道雄氏のアーティストトークが行われ、約40名が参加した。
恵庭市に生まれた中村哲泰氏(1940〜)は、18歳から21歳まで農業に従事、その後、定年までサラリーマンを続け、定年後は、2001年に61歳でヒマラヤに取材登山に挑戦。近年は、身近な植物を題材に製作活動に励む。2015年に一水会賞を受賞し、2018年から同委員になる。
26歳で絵を始めた中村氏は、綺麗な風景を描くが、恵庭岳の沢で絵を描いていた頃、風の音とスケッチブックがパラパラとめくれる不思議な音と気持ちが溶け合い、目で見た美しいさと動きが体に伝わる絵を描こうと思った。
積丹の波の音・雲の動き・潮が飛び散る情景を捉え10年描き続けた。綺麗な風景から骨格のある積丹へ、6年から10年かけて、ひとつのモチーフを描き上げている。
ヒマラヤ経験にも触れ、僅かな緑が宝石のように輝いていたと印象を語り、大きい・高い・迫る情景を常に念頭に置いたという。
現在は、近所に自生する植物を良く観察し、感性で描きたいと思う存分に製作。必ずしも草木は青ではなく、意外性を求め、独自の色を出す。複雑化したのち、いかに単純化させるかなど考えながら製作。中村善作氏の教えは今も忘れていないと語った。
アーティストトーク2人目の佐藤道雄氏(1948〜)は、佐藤進氏の三男として旭川市に生まれ、19歳で上京。25歳で独学で絵を始めた。父の勧めで一水会展に挑戦したが落選。闘志に火がつき、29歳で帰郷し画業に専念。人気のない林間で、樹木をモチーフに製作。一水会運営委員。
会場には、木に縛りつけて100号に初挑戦している31歳の姿の写真が紹介されている。
必ず、現場で描くことをスタンスに、雨の日に何日もかけて描いた「緑鳩の鳴く丘」(2002年)の思い出や、コンクリートのベンチを入れて描いた「博物館前庭」(2004年)では、6:30からのラジオ体操に、絵が完成するまで参加したエピソードも語った。
画面いっぱいにそびえ立つ樹木を精密に描き、絵具をすくって画面につけるように筆を運ぶ細かい作業で、2ヶ月間で1作品の完成を目標にしているが、未だ達成できたことはないなど、展示作品の製作状況や思い出を紹介した。
北海道の緑ー佐藤進・佐藤道雄と一水会の画家たち
7月20日(土)~9月16日(月・祝)9:30~17:00(最終入館16:30)
定休日:月曜日、祝日の場合は翌日
市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室
入館料一般600円、高校生・市内高齢者300円、中学生以下無料