春の行楽期を迎え、多くの観光客がロープウェイを利用していることから、不測の事故に備えて、小樽市消防本部と中央バス観光開発株式会社の合同救助訓練が、4月11日(木)14:00から、天狗山山麓駅から約70m地点に停止したロープウェイで行われた。
消防と中央バスの連携体制の強化と救助技術の向上を目的として、同社職員9名と同消防署の指揮隊3名・救助隊6名・機動消火隊4名が参加し、車両3台が出動して実施。消防本部新体制の初訓練となった。
訓練は、乗客2名を乗せたロープウェイが、電気系統の故障により山麓駅から約70m地点(地上高約15m)で突然停止し、運行再開の見通しが立たず、乗客がゴンドラ内に取り残されたという想定で行われた。
同社から、ロープウェイが停止して乗客が取り残されたとの通報を受け、現場にかけつけた消防署員は、関係者から情報収集したのち、全体を統括する指揮隊、実行部隊となる救助隊6名と機動消火隊4名が、ロープウェイの側に向かい、残雪のゲレンデを上り二手に分かれ、残された2名の乗客の救出活動を開始した。
救出ロープを設定するために、救命索発射銃を使ってロープを渡し、ゴンドラ側に寄せた。隊員1名が進入の準備をしてロープをよじ登り、ロープウェイの天井に上りルーフハッチからゴンドラ内へ進入。
乗客1名を備え付けの緩降機によりフロアハッチから地上に降ろし無事救出。残りの乗客も同じように救出し、最後に救助隊員もロープを使って脱出した。
山麓駅前に参加者全員が整列し、宮越繁喜消防署長は、「中央バス観光からは、迅速に消防機関に通報し、事故原因を究明し2次災害の防止を図る。消防機関は、情報に基づき救出方法を選択するため、改めてやらなけらばならないこと・優先順位を確認した。ゴンドラが停止するワイヤーや滑車の損傷など原因は様々で、消防機関もひとつの救出方法だけではなく、色々な救出方法を考えていかなけらばならない。良い環境の中での訓練となったが、どんな気象状況で要請が掛かるか分からない。研究しながら対応していかなければならない。安全に努めてもらいたい」と講評を述べた。
同社・佐藤智和さんは、「毎年実施している大事な訓練で、実際には起こってほしくないが、昨年の地震では停電もあり、停電の場合は、予備原動機でロープウェイを動かすことができるが、それができない場合は今回の救助が必要となる」と話した。
小樽天狗山ロープウェイは、4月13日(土)から11月4日(月)まで夏期営業を開始する。
◎小樽天狗山ロープウェイ
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