迫(はざま)俊哉小樽市長は、2月13日(水)、市役所(花園2)で、市議会第1回定例会に提案する新年度予算案を発表した。
「みらいに向けた”備え・はぐくみ”予算」と名付けられた平成31(2019)年度一般会計予算は572億130万1千円で、前年度予算と比べ実質2.1%増となった。
このほか、港湾など8特別会計327億3,680万9千円、病院など3企業会計258億2,769万5千円を合わせ、小樽市の各会計予算総額は1,157億6,580万5千円で、実質前年度比0.5%増となった。
迫市長は、「限られた財源の中で、議会で議論されたことや人口減対策など、社会的に要請されている事項など、公約の全てではないが、ある程度盛り込めたのではないかと思っている」と初の自身の政策予算を評価した。
昨年9月の胆振東部地震によるブラックアウトを受け、市議会でも議論となった防災関連については、指定非難所などに発電機や投光器の配備(1,400万円)、水道事業会計でも停電時の断水対策として配水ポンプ所などに発電機の配備(440万円)を行う。
また、津波や高潮の災害時に、沿岸の住民や観光客等へ避難情報伝達をする防災行政無線整備(1億5千万円)や、胆振東部地震の情報発信で威力を発揮したFおたる放送の難聴地域解消のため、送信局増設の調査・実施設計(1千万円)を行う。
人口減少対策の一つとなる子育て環境整備では、1歳半から小学2年生までの児童を対象に、病気になった時の一時保育のための病児保育事業(427万円)を初めて実施し、こどもの医療費では中学生の入院医療費まで助成(4,830万円)を拡大する。
ひとり親家庭や生活困窮世帯の中学生を対象に、学習支援や相談などの生活支援(427万円)を初めて実施する。
学校教育では、小・中学校におけるパソコン教育のためのタブレット型パソコンなどの整備に要する予算を、平成37(2025)年度までの事業として2億2千万円(31年度分は1,436万円)計上し、小学5・6年生を対象に、小樽市の歴史・伝統・文化・産業に関する副読本「小樽の歴史」(170万円)を新たに作成する。
経済関連では、新規創業者の開業費用の補助を行う創業支援事業に2,500万円や、食料品関係事業者を対象とした、全国規模の商談会への参加や販路開拓・商品のブラッシュアップなどの相談などを行う稼ぐ力向上実践事業(600万円)を実施する。
若者の地元定着のため、市内企業の見学やインターンシップなどを行う若者就職マッチング支援事業(260万円)の対象を、高校生から大学生に拡大して行う。
港湾関連では、第3号ふ頭周辺整備など小樽港の将来を見据え、港湾計画改定を行うための長期構想の検討に要する経費900万円を計上したほか、引き続きクルーズ客船寄港のための船社訪問など誘致活動(1,600万円)や秋田・伏木富山・京都舞鶴・境港などと共同で行う環日本海クルーズ推進事業(129万円)など、港を活用した観光振興やロシア沿海地域へのポートセールス(100万円)など物流促進への取り組みを行う。
除雪費は15億4,280万円を計上したが、貸出ダンプに係る経費(例年約7千万円)については制度の見直しを進めているため、今後補正予算に計上するとした。
財源については、市税で前年度比3億5千万円の増加と見込んだが、地方交付税などが前年度比でマイナス3億円となり、最終的に15億7,200万円の不足となったため、市の貯金である財政調整基金を取り崩して帳尻を合わせた。
これにより、財政調整基金の予算上の残額は7千400万円となり、今後、貸出ダンプに係る経費を補正するとゼロになる見込みとなった。
財政調整基金は、国の三位一体改革による地方交付税の大幅な削減などの影響で、平成16(2004)年度以降、全額取り崩しにより残額がゼロになっていたが、中松市政だった平成23(2011)年度から再び積立をしてきた経緯がある。
市財政部は、平成30(2018)年度決算の見込みが黒字であることから、決算後に財政調整基金への黒字額見合いの積立が可能である見通しを示すが、依然として市の財政が厳しいのは確かだ。
迫市長は、「昨年11月に作成した小樽市収支改善プランによる、収支改善の取り組みを着実に進めることが、まずはテーマだ」と話し、経済を活性化し税収を増やして、まちづくりを進めていくことが本道だと思うが、それには人口減少対策など時間がかかるので、
企業版ふるさと納税の検討など、あらゆる方策を検討していきたいとした。
◎平成31(2019)年度予算(案)のポイント
◎平成31(2019)年度当初予算主要事業