小樽市内唯一の工業系定時制高校である、北海道小樽未来創造高等学校定時制に通う森美由紀さん(51)は、12月6日に発表された国家資格の2級建築士に合格した。
森さんは、「ダメかなと思っていたが、合格できて嬉しかった。学校の全面サポートのお陰。これからの仕事に活かし、設計・経理・現場とオールマイティにこなしていきたい」と喜びをかみ締めていた。
小樽商業高校と小樽工業高校の統合により、4月にスタートした学校としては初の合格者。前身の小樽工業高校定時制からは11年ぶりとなり、学校関係者は喜んでいる。
森さんは、小樽商業高校を卒業後OLとなるが、23歳の時に建築の仕事がしたいと市内のインテリア学校で学び、建築業の道へ。17年ほど前にも同資格を受験しが不合格となり、その後、受験しようとは考えていなった。
5年前に2級建築施行管理技師に合格。福祉住環境コーディネイター3級も持つ努力家だが、建築の基礎を1から勉強をしたいと、同校へ入学。勉強に取り組む姿勢は、他の生徒の模範となる。
週4回学校へ通い、市内塗装会社の経理をしながら、建物の図面を書いたり、確認申請書提出などもしながら、主婦業も怠らずこなしてきた。
同資格は7月に学科を受験。自己採点で合格を確信していたため、合格発表前に次の設計製図の試験に向け、夜中の3、4時まで勉強していたという。
長剛志教諭は、「熱心に取り組む生徒で、設計製図の試験では、合格できる内容だと確信していた。他の生徒も合格の話を知り、自分も受けようと思ったり、危険物やボイラー技師の資格などにも興味を示し、設計を学ぼうと思う子もいると思う。社会人が学ぶ場で真剣に取り組んでくれている」と話した。
今後、宅地建物取引士なども視野に入れながら、来年3月の卒業に向けて、学校と仕事・主婦業に忙しい日々が続く。
2級建築士試験は、学科試験と設計製図の試験の両方に合格しなけらばならず、2018(平成30)年全国で23,533人が受験し、5,997人が合格、合格率25.5%の狭き門。50歳以上の合格者は2.1%とだった。
◎公益財団法人建築技術教育普及センター
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