鰊御殿オープン! 鰊漁の歴史に思いを馳せて


nishingoten1.jpg 祝津の高台に建つ小樽市鰊御殿(祝津3)が、5ヶ月間の冬眠から覚め、4月7日(土)から2018(平成30)年度の営業を開始した。
 株式会社小樽水族館公社が運営する同御殿は、鰊漁や鰊加工に実際に使用された道具や、鰊番屋での生活用具等も展示され、国内外から多くの観光客が訪れる観光スポット。
 通常2名が常駐し、希望があれば館内の案内や質問等に対応してくれる。入口入ってすぐの内玄関では、まだ寒い日が多く、冷えた床から身を守るための手編みの足カバーが用意され、さりげないおもてなしの心遣いが感じられる。
 同施設は、1960(昭和35)年5月31日、「北海道有形文化財・にしん漁場建築」として、本道の民家としては初めて文化財に指定されている。
nishingoten2.jpg 1897(明治30)年に、鰊漁で栄華を極めた田中家初代当主・田中福松が、西積丹の泊村に建てた御殿を、1958(昭和33)年に1カ月がかりで解体し、トラック50台で現在の位置に移築した。
 釘を一切使用せず、継ぎ目のない長い木材を使用していたため、その頃の道路状況により夜間に搬送。復元には50日を要し、延べ2,000人が動員され、現在の地にその姿が甦った。
 一部2階建ての総面積611.9㎡。北陸東北地方の切妻造の民家用式が使われ、全盛期には、漁期に120人ほどの漁夫が寝泊りし、それ以外でも越年仕事のため30人は常駐していたという。タモ・セン・トドマツ等の遺産原木や、東北地方から取り寄せたヒノキ等を約3,000石(540t)が使用されている。
 当時の人々の半纏を着て前掛けやほっかぶりした人形を展示。来館者には、半纏等を無料で着ることができるコーナーもあり、観光客が試着して撮影を楽しんでいる。
 オープン初日の7日(土)は約40人が、翌8日(日)は約50人が来場したという。


 小樽市鰊御殿(祝津3)
 4月7日(土)〜11月25日(水・祝)9:00〜17:00(10月17日以降16:00)
 入館料:大人300円、高校生・市内在住の70歳以上150円、中学生以下無料
 問合せ:0134-22-1038 小樽市鰊御殿