小樽市総合博物館運河館(色内2)で、12月21日(木)まで開催中のトピック展「小樽で発見!害虫だけど美しい?プラタナスグンバイ」に関連し、11月11日(土)11:00から展示会場の第一展示室で、「あなたも発見!プラタナスグンバイ」と題してギャラリートークが開かれ、子どもから大人まで20人が参加した。
講師は、同館の能瀬晴菜学芸員が務め、外来種昆虫のプラタナスグンバイの生態や小樽での分布状況を解説した。
観察会も予定していたが、悪天候のため中止となり、能瀬学芸員が予め採取した生きたプラタナスグンバイを観察した。
プラタナスグンバイ(Corythucha ciliata) は、カメムシ目カメムシ亜目グンバイムシ上科のグンバイムシ科に属する昆虫の総称。
北アメリカ大陸に生息していた外来種で、日本では2001(平成13)年に愛知県で初めては発見され、その後全国で確認。小樽では、2016(平成28)年の夏に生息を発見。小樽での分布状況や暮らし方を、能瀬学芸員がこのほどまとめた。
同虫は、体長3.7mm前後と小さく、名前の由来は、相撲で行司が使う軍配に似ているため付けられた。半透明のレース状の羽を持ち、英語では「Lace Bug」と呼ばれている。プラタナスの木に寄生し、葉の汁を吸い、葉や樹幹全体が白みを帯びる害を及ぼしている。
2017(平成29)年小樽での分布状況は、市内の国道・道々・市道にある街路樹のプラタナスの木の皮をはがして観察。蘭島から桂岡までの街路樹のプラタナスすべてにいることが分かった。
2017年5月中旬に成虫を見つけ、6月中旬には卵(約0.6mm)を葉脈に見えないように産み付けた。ふ化した幼虫は5回脱皮を繰り返し、約1ヶ月後の8月上旬に成虫になる。北海道では年2回のライフサイクルであることも分かった。
1日で20m先に到達できる移動能力を持つ。低温・高温耐性、飢餓状態にも強く、強い生命力があり、1匹から300個の卵を産み、強い繁殖力を持つ。成虫がプラタナスの木の皮の間に集まって越冬する。
能瀬学芸員は、「プラタナスにこの虫がいることが分かったが、不明なことも多い。ぜひ皆さんも探してみてもらいたい。この虫をきっかけに、町の中には沢山の生物が住んでいる、発見できることを気にかけてもらいたい」と話した。
小鷹優爾君(小1)は、「虫が大好きなので、楽しかった。今日は観察できると思い、楽しみにしていた。生きた虫を見てみたい」と興味を示していた。