9月27日(水)から始まった市展を皮切りに、第68回小樽市文化祭が開幕。9:50から市立小樽美術館(色内1)1階研修室で開会式が開かれ、テープカットで開幕を祝った。
市展は、同文化祭よりも歴史が古く、今年で71回目を歩み始め、油彩・水彩・日本画・版画・素描・工芸・立体・ミクストメディアの、多岐に渡る分野の104名・108作品と市展委員60名・60作品を展示している。
24日(日)午前中から、市展運営委員47名が参加して審査委員会が開かれ、応募作品104名の125点の中から、受賞作品14点を含む入賞・入選作品108点を決定した。
最高峰の市展賞には、菅原邦治さん(84)が、20年以上前に3度旅して一番気に入った景色、スペイン・トレドの古都の夜明けを油彩で描いた作品が輝いた。
菅原さんは、魚釣りや山歩きが好きで、することのない冬に、40年ほど前から趣味の絵を描いている。「構想から完成まで1年間を費やした。趣味で楽しみながら描いた作品。受賞はキツネに抓まれたようだ。昨年は、ユネスコ賞を受賞。今後も少しずつ、活動を続けて行きたい」と話した。
島常雄市展委員長は、「今回71回展となり、104名の130点近くの出展があった。審査会も盛況だった。水彩・工芸では、複数入選を果たした人もいた。10名以上の新しい出展者もあり、20歳の初出展の工芸作品や、60歳からスタートした人などの作品も観ていただきたい。昨年から、ミクストメディアのジャンルを設け、水彩や油彩からミクストメディアに切り替えたり、木彫の繊細な作品なども。これまでのジャンルから違うジャンルへ挑戦した委員などの作品もあり、ご覧いただきたい」と、多くの来場を呼び掛けた。
初出展の六条勇登さん(20)は、小樽工業高生やOBの楽画会展にも出展し、今回は3作品目の「peace」。切り絵を使った万年カレンダーを出展。一見、ジグソーパズルを連想させ、題材は、パズルの「Piece(ピース)」と思いきや、実は平和の「peace」から名付けた。
3ヶ月前に、トイレの万年カレンダーからヒントを得て、1ヶ月かけて構想を練り、1ヶ月かけて下書き。約1ヶ月で切り出し完成させた。
これまでの作品には、工業高校の勉強や生まれ持った器用さを活かし、図面を作成し定規を使って幾何学模様を描いたり、中学3年生から始めた切り絵は、全部繋がっていることは絶対だという。
来場者が六条さんの作品を観て、不思議な表情を浮かべると、作品の解説が始まる。
「来場者が『なるほど』、『面白い』と思ってもらえるのが嬉しい。線の太さのばらつきが反省点」と話す。
会場には、楽しみにしていた市民が初日から大勢訪れ、ひとつひとつ丁寧に作品を鑑賞していた。
なお、今回の審査結果から、新市展委員はいなかった。現在市展委員は67名。3賞(市展賞・市長賞・教育長賞)のいずれか1回と、入選を、絵画で2回以上、工芸・日本画・版画は1回以上の受賞回数を積まなければ市展委員になることはできない。
10月7日()18:00からニュー三幸で表彰式及び懇親会を、10月8日(日)14:00から15:00まで展示会場で委員による講評会を予定している。
第71回市展 9月27日(水)~10月8日(日)10:00~17:00(最終日〜16:00)10月2日(月)休館日
市立小樽美術館(色内1)・入場無料
1階:多目的・市民ギャラリー〜油彩・ミクストメディア・版画
2階:美術館〜日本画・水彩・彫刻
:工芸室〜工芸・版画・工芸・油彩・素描
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