小樽市議会(鈴木喜明議長)の第2回定例会は、6月20日(火)13:00から市役所(花園2)第2委員会室で、予算特別委員会(千葉美幸委員長)の最終日を迎えた。
民進党・高橋龍議員は、若年者の雇用対策に関連して、有効求人倍率が1.0前後で推移しており、働く場の不足は一見生じていない状況の中で、生産年齢人口の市外流出が生じている原因について、市の認識を質した。
市は、「建築・土木・測量技術・医師・薬剤師・看護師・保健師・保育士など、専門技術的知見や資格などを要する職種については求人があっても、(条件に合わず)求職者が職につけない。また、給与等が低いなどの雇用条件が合わない理由で、求人側と求職側とでマッチングできない状況等があり、単純に有効求人倍率を見ただけでは課題は見えてこない」といった認識を示した。これを受け、同市議は「一部の業種を除き、雇用の場がまだまだ足りていない」と指摘した。
また、新卒者の市内での就労割合が、「2017(平成29)年3月卒業の市内全高校では、市内に就職が内定した生徒が52.1%。大学の場合は2016(平成28)年3月の時点で職についた472名の内、市内就職者は4名」との市の報告を受けて、「サービス業などの3次産業従事者が多い小樽では、販売員や飲食業などで欠員による中途採用や非正規雇用が多く、大学新卒者が市内で働きたいと思っても、将来の展望やそもそも求人が無いために市外に就職せざるを得ない状況」と指摘した。
その上で、「高校や大学の新卒者の囲い込みをしなければ、若年者の市外流出を防ぐのは難しいのでは」との考えを示し、市の認識を質した。
市は、「卒業生が市内の企業に就職することは、若年層の流出を食い止める一つの方策だが、今後人口減少の要因について調査分析をし、どのような方策が良いか見極めて(対策の)実行に移したい」と答えた。
自民党・中村吉宏議員は、市の総合戦略の改訂で、地区別の発展方向や施策の大綱を新たに加えたことに関して、「具体的なビジョンや方法などを示すべきで、産業施策であれば具体的に実行することによって、どういう好影響が及ぶのかといった、そういう発想で総合戦略は作られるものだと思う」と、地方創生のエンジンとなる総合戦略のあり方について質した。
市は、具体的な施策は盛り込んでいないとした上で、「一定の材料になる枠組みを載せて、皆さんで議論し色々な施策を載せていこうという考えの作りになっている」と答弁。
この答弁に、同市議は、「議論をする皆さんとは誰のことを言っているのか?総合戦略のどこにそんなことが書いてあるのか?」と質すと、市は、「産業施策については十分ではないので、人口対策会議の意見や担当部とも協議しながら追加できる事業があれば追加したい」と、その場を取り繕う答弁となったため、同市議は、「政策議論をしようと細かく詰めると答えられない。小樽の経済をどう伸ばしていくのか重要な議論を自分なりに考えて質問しているのに返ってくる答えがそういうことでは切ない思いだ」と述べた。
小樽市総合戦略の趣旨には、「まちづくりの将来像や理念を明確にするとともに、広域的な観点も踏まえ、当市の中期的な方向性を示し、具体的な施策を取りまとめたもの」と明記されている。
質疑終了後の採決では、 共産党・小貫元議員が、クレジット納付関連経費について一般会計補正予算案に反対の討論を行ったが、賛成多数で可決。その他、同委員会に付託された議案はいずれも可決となった。
◎H290620小樽市議会予算特別委員会1 ◎H290620小樽市議会予算特別委員会2