小樽市議会(横田久俊議長)平成29年第1回定例会の予算特別委員会(前田清貴委員長)の3日目が、3月9日(木)13:00から市役所(花園2)別館3階第2委員会室で開催された。
9日は経済常任委員会所管事項の質疑が行われたが、高島漁港区に森井市長の後援会関係者がオーナーの観光船事業者に、物販施設等の建設を許可したことに関する質問が相次いだ。
自民党・鈴木喜明委員は、観光船事業者から提出された事業計画概要では、小樽産海産物及び農産物・小樽特産品・通信販売・宅配といった物販事業が行われていることを指摘し、全国数都市の港湾の分区条例について調査をした結果を掲げながら、「他都市では漁港区に漁業者の利便性に供するための日用品の販売を目的とした店舗と明確に書かれている。そういうことから考えると、小樽市の分区条例の物販とは、字面には書かれていないが、他都市のように漁業者のための日用品ということが含意されているのでは?」と、市の見解を求めた。
◎小樽港分区条例(別表第3第12号)平成8年9月30日制定
港湾室は、小樽港については、条例で明記していないので、観光船事業者の計画概要にある物販も問題無い趣旨の答弁を行った。
次に鈴木委員は、石狩湾新港の分区条例を示し、漁港区における物販施設について「漁業者等の利便の用に供するための日用品の販売を主たる目的とする店舗」と明記されていることを指摘。
「石狩湾新港は上林副市長が副管理者になっており小樽市の港とも言えるもの。その石狩湾新港管理組合の担当者に、高島漁港区で問題になっている観光船事業者の掲げる物販が、新港の分区条例の条文に適合するかどうか尋ねたら、論外という返事だった。
小樽港と石狩湾新港の二つの港を管理する小樽市が、こういうダブルスタンダードを行っている。高島漁港区で、なぜ観光船事業者の物販事業が該当するのか根拠を示せ」と質した。
これに対し、港湾室は、「石狩湾新港の条例制定の過程や内容は分からないが、小樽港の条例には、日用品といった文言や漁業者が利用するといった文言が明記されていないので、小樽港では(石狩湾新港の条文のようには)想定していない」と答弁した。
さらに森井市長は、「鈴木議員が言うとおり条例に字面では書かれていない。それを(石狩湾新港と同様に)解釈しろと言っても、残念ながら書かれてないので、そのように括ることはできない」と答弁した。
鈴木委員は、「小樽市の港でもある新港では、漁港区に制限される建物が条例に明記されており、新港の担当者は、(分区条例の趣旨に照らすと)書かれていなくても、そんなことは当たり前だというニュアンスだ。
港湾関係で法文や条文を作っている方々は、漁港区で観光物産を売るというのはおかしいと考えるのが普通ということが通らないから問い質しているんだ」と語気を強めた。
森井市長は、「条例に書かれていないことを、解釈して行うことのほうが勝手な判断という枠組みに当てはまりかねない」と答え、あくまで条例に基づく許可であることを強調した。
続く自民党・中村吉宏委員は、「分区条例のそもそもの制定趣旨である港湾の適正な管理と運営を行うために条例の解釈が必要となる。分区条例別表3-12号もその趣旨に当てはめて考えていけば、明記されていなくても解釈や他都市の事例をしっかり見ることで補うべきだ」と森井市長の答弁を否定した。
これに対し、港湾室は、「補うということではなく、小樽市の分区条例では、漁港区に限らず、どの港区においても、その従事者や利用者が使える飲食や物販であれば、基本的には何でも認める」といった趣旨で応じた。
また、高島漁港区における一連の許可が議会で問題にされている最中の、昨年12月1日に市が、事業者に観光船を護岸に繋ぐための繋船環の設置を新たに許可したことに関して、公明党・斉藤陽一良委員から質問があった。
観光船事業者から提出された許可申請書の中の繋船環の施工工事期間が不明確であるにも関わらず、許可を行った市の杜撰な処理が判明した。これに関する答弁を市が準備するため、同委員会は一時中断したが、その後再開され、市側は観光船事業者に工事期間を明確にした申請書を出し直させると答えた。
森井市長の後援会幹部への異例の厚遇は、就任直後の参与人事から始まり、除排雪に関しての幹部優遇では、議会から利益誘導との指摘が再三なされ、高島漁港問題でも後援会幹部への厚遇が指摘されるなど、後援会幹部に対する配慮ばかりが目立っている。このような施策が続く森井市長には、月刊誌などが「内外から強まる”退場勧告”」との記事掲載に繋がっている。◎関連記事
この森井市長の市民を置き去りにした「後援会幹部ファースト市政」には、多くの市民からも厳しい目が注がれてきており、今後の動向に注目が集まることになろう。
◎石狩湾新港分区条例(別表第3第12号)平成28年12月9日制定
石狩湾新港は、小樽市と石狩市に跨って位置する港。小樽市、石狩市、北海道の職員で構成される管理組合によって運営され、小樽市も港に係る費用を負担している。港湾管理者は北海道知事。小樽市副市長は副管理者。
◎H290309小樽市議会予算特別委員会1
◎H290309小樽市議会予算特別委員会2
◎H290309小樽市議会予算特別委員会3
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