小樽市議会(横田久俊議長)は、第4回定例会の会期末を迎えた12月19日(月)17:50から、市役所議事堂(花園2)において本会議を開催し、森井市長に対する2度目の問責決議(決議案2号)を自民・公明・共産・民進・無所属(安斉市議)の賛成多数で可決した。また、高島袖護岸での係船環設置許可の取消しを求める決議(決議案1号)も自民・公明・共産・民進の賛成多数で可決した。
問責決議は、森井市長の不穏当発言が議会を混乱させたことに対して行われたもので、「森井市長の言動は地方公共団体の長としても、さらには社会人としても常識を疑わざるを得ないもの」で「森井市長の不穏当な発言と身勝手な行動は、政治的・道義的に決して許されるものではないことから、その責任を強く間うものである」としている。(決議案2号)
森井市長の後援会荒木和廣幹事長が代表を務めるダンプ事業協同組合が、「議員の発言が名誉棄損にあたる」として、市を相手に起こした損害賠償請求訴訟に関する質問に答えた森井市長の発言が、「裁判に影響する怖れがあり、かつ小樽市議会を侮辱している」として、市長に発言の取り消しを求めたが、森井市長は発言を取り消さないとして、12月5日から議会が空転し混乱していた。
会期末を迎えた19日も、結局、森井市長が問題発言を取り消すことがは無かったため、市長が上程した補正予算案や条例改正案などについて審議を行うことができなかった。市民からの請願・陳情は、継続審査とされたが、第4回定例会は、19日深夜に時間切れで自然閉会となり、上程された議案は廃案となった。
今回の補正予算案には、全額、国からの補助金で賄われる臨時福祉給付金事業に要する費用、5億5,200万円が計上されていた。同事業は、平成28(2016)年度市民税が課税されていない人に、1万5,000円が支給されるもので、市は3万5,000人分を計上していたが、森井市長の身勝手な行動で廃案となったため、支給事務を進めることができない状況となった。
今後は、臨時議会を開催して改めて予算の審議をするか、議会を通さないで市長が「専決処分」を行って予算を処理することになる。専決処分は急を要し、議会開催に時間が無い時などに、市長が処理する方法であり、本来恣意的に用いるべきものではなく、鹿児島県阿久根市の前市長は、専決処分を乱発し、リコールされている例もある。
いずれにしても、国の補助金を使って行われる臨時福祉給付金は、平成28年度中に支給しなければならないため、市民に対する影響も大きく、事務処理が間に合うように早急に予算を決める必要があるが、常識を疑われている森井市長が、今後どう市議会と向き合うかが問われている。
森井市長には、議会空転が続く12月15日(木)に、市民の税金で213万円のボーナスが支給されている。一方で、自らのメンツのために議会と対立し、正副議長との協議も拒否し、市民税非課税者への国の給付金1万5,000円支給の予算案を廃案とした。自らは213万円の税金を懐に入れながら、困窮する3万5,000人の市民への配慮を一顧だにしない、思いやりのない森井市政の前途は極めて暗い。
共産党新谷議員は、問責決議の賛成意見の中で、「議会が中断した最大の原因は、森井市長が地方自治法と議会制度への認識が不足していること」として、議会制度におけるルールに納得しない森井市長の態度に猛省を強く求めた。
多くの課題を抱える小樽市の行政に一刻の猶予はないはずだが、森井市長下の市議会第4回定例会は、議案審議や市政に関する質疑が行われないまま、自然閉会するという最悪の結果となった。今後、臨時議会等の開催は未定。
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