10月25日(火)10:30過ぎ、小樽から余市へ向かうフルーツ街道忍路付近の空に、大気光学現象と呼ばれる大変珍しい「幻日環」をはじめとする数々の現象が出現した。
余市町立登小学校のグランドからも現象が見られ、児童や先生も、普段と違う空の様子に驚いた。
太陽の光と大気中の水滴や氷晶の屈折や反射により、空に光や虹が出現する現象で、世界各国でも観測され話題となっている。普段、あまり空に関心がなく過ごしていると、珍しい出現を見逃してしまうことも多い。
太陽の周りに暈(かさ)がかかる内暈を、見かけたことがある人も多いが、この度の現象は、大気光学現象を追いかけている人でも、数年に1度遭遇できるかどうか、360度の弧を描いたはっきりとした「幻日環」が、午前中の限られた時間に出現した。
雨上がりに太陽とは反対の方向に出現する虹は、水滴の屈折で出現する現象だが、今回の現象は、内暈のように太陽にかかる現象で、空に神秘的な芸術が描き出された。
内暈の上部に接してできる上部タンジェントアークも見事なVの字を描き、内暈の下にも下部タンジェントアークが見られた。内暈と接する左右に出現する幻日。太陽から伸びる幻日環は、空に360度の弧を描き、魚眼レンズでなければ撮影できないほどダイナミックな現象だ。
上部タンジェントアークの上は、パリーアーク、さらに上には上部ラテラルアーク、濃淡はあるが虹色に見える。太陽高度によって形状が大きく変わるので注意が必要。ウェゲナーアークや120度の幻日も見られ、大変珍しい現象を見ることができた。月にも太陽と同様に現象が現れる。
小樽市総合博物館・大鐘卓哉学芸員によると、「これまでに幻日環を見たのは、記憶では1度だけ。こんなにはっきりと360度の幻日環は大変珍しいと思う」と話した。
◎大気光学現象
◎天空博物館