小樽市議会第3回定例会は、10月4日(火)、森井秀明市長の答弁等の調整の遅れや資料提出拒否などにより議会が空転したため、当初の日程から6日遅れで最終日の本会議を迎えた。
13:00に始まった最終日は、各委員会の委員長報告に続き、人事案と意見書案の提案等に対し採決が行われた。
最後は、森井市長が、自身の後援会関係者が関わる観光事業者に対して行った、高島漁港における観光船の係留や観光施設の建築許可に関して、森井市長に対する問責決議案が提案され可決された。
議会事務局によると、小樽市議会では、記録のある昭和33年から問責決議がなされたことはなく、今回が初めての問責決議となった。
決議は、「不適切な状態を知りつつ、市が観光船の係留を許可したことなどは、森井市長の後援会関係者に対する便宜供与と疑わざるを得ない上、漁業者が漁業権の侵害を訴えているにも関わらず、市が、この状態を放置していることに対し、遺憾の意を強く示し、森井市長の政治的・道義的責任を強く問う」内容になっている。
また、決議では、9月26日に経済常任委員会が現地視察を行ったことや(◎関連記事)、9月27日の経済常任委員会で森井市長が、「漁業者が何を困っているのかが分からない」と言った発言が無責任で不遜であることに触れた。
問責決議案が自民党濱本進議員から提案された後、1人の無所属議員以外の自民・公明・民進・共産・一新小樽の全会派が決議に賛成の討論を行い、採決の結果、賛成多数で、異例の問責決議が可決された。
議会終了後、森井市長は、「問責決議がなされたことは、重く受け止める。今後、観光事業者には不適切な係留の早期改善に向け、指導を行うとともに、できるだけ早く漁業者の方たちの意見を聞き、円満に解決されるよう努力する」とコメントした。
問責決議案は、政治的・道義的責任を問うもので、法的拘束力はない。しかし、これまでの森井市長の後援会関係者の、市政での優遇は目に余るものが多く、さらに、議会答弁での虚偽発言、公務を後回しにした私用優先などが強い批判を呼んでおり、議会定数25のうち1人の無所属議員を除き、市議会を構成する全5会派の23議員(議長を除く)の圧倒的多数が賛成に回ったのは、森井市長の資質の欠格性を露にしたものとなった。
問責決議案が全5会派の賛成で成立したことは、今後、法的拘束力を有する『不信任決議』を成立させることも可能となった。不信任議決の要件(地方自治法第178条第3項)は、議員数の3分の2以上の者が出席、出席議員の4分の3以上の者が賛成した場合と規定されている。
不信任決議を受けた首長は、10日以内に議会を解散できる(地方自治法第178条第1項後段)。解散しなければ10日が経過した時点で失職する(地方自治法第178条第2項)。
また、議会を解散した場合において、選挙後に開かれた議会で、再び不信任決議案が提出された場合は出席議員の過半数の賛成で成立し、首長は議長から通知があった日において失職する(地方自治法第178条第2項・第3項)とされている。
今回の問責決議が、今後の森井市長の動向次第では、不信任決議に直結する事態も考えられることになった。
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