昨年4月の統一地方選で行われた小樽市の劇的な市長交代劇から、1ヵ年2ヶ月が過ぎた。新任の森井秀明市長(43)は、就任以来、市役所職員の人事異動に大鉈を振るっており、その影響は多くの職員の様々な人生に大きな波紋を広げている。
2015年6月と2016年4月の大幅な異動では、降任希望者や定年前退職者が相次ぐなど市役所を大きく揺らした。この中の一人に、山田・中松・森井の三代の市長の中枢部の課長として仕え、16年3月末で退職した笹原馨・広報広聴課長(47)の名があった。◎関連記事
最近、その笹原元課長の姿が、市内のあちこちの街角で見られるようになった。スケッチブックを手に、熱心に写生に取り組んでいる。小樽駅前、小樽運河、日銀金融資料館、堺町通、水天宮など市内の街角でスケッチにいそしんでいた。
「3月に退職し、いろいろとこれからの身の振り方を考えていました。漁業に携わってみようかと考え、小型船舶操縦免許や潜水士の資格などを取得しました。しかしながら、一市役所職員から、全くフリーの立場になって、改めて小樽の街を眺め直しててみると、この街の魅力が新たに迫ってきて、自分のささやかな絵心に火を点けられ、この街をスケッチしてみようとの気持ちが強くなり、それで、4月から街角スッケチを続けています。これまで、実際に街に出てスケッチをしたことはほとんどありませんので、とても新鮮な気持ちで描いています」。
スケッチ中には、いろいろな人の目に留まり、新しい出会いもあった。版画家・金子誠治氏の息子さんの金子陽一氏とは、日銀前で出会い、スケッチを見てもらい、評価して頂いたことがきっかけで交流が始まったという。
「スケッチの点数も増えたので、約30点の作品をまとめ、『小樽風景スケッチ画展・笹原馨』を7月26日から31日まで、都通りアーケードの白方ギャラリーで開かせていただきます。まだまだ未熟ですが、多くの方にご覧いただけたらと思っています」と話してくれた。
森井人事で見切りをつけた市職員の人生が、4月から大きく変化し、悩める中から新たな人生への模索を続けている。定年前に辞めた市職員の人生は、月日の移ろいとともに移ろっている。
◎金子誠治アトリエギャラリー
◎金子誠治アトリエギャラリー2016/06/28〜水天宮でスケッチする笹原馨さん
◎金子誠治アトリエギャラリー2016/05/13〜日銀前でスケッチする人-2、WEB展
◎金子誠治アトリエギャラリー2016/05/11〜日銀前でスケッチする人-1