小樽市議会第2回定例会・会派代表質問が、6月13日(月)13:00から開かれた。
自由民主党・酒井隆行議員と公明党・千葉美幸議員が質問に立ち、市長就任後1年が経過し、公約の進捗状況や職員の人事、周産期医療、おたるドリームビーチについて質問した。
しかし、森井市長のこれまでの答弁の繰り返しに、議員が苛立つ場面も見られ、市長への不信感がさらに高じている格好となっている。
酒井議員は、「公約の進捗状況の中で、JR快速列車の停車についての交通網の再構築について、JRダイヤ改正により快速4本の減便となり、公約実現のタイミングとしては、銭函駅にバリアフリー完了時期と同時期に快速列車を停車することがベストでは?」と、市長の見解を求めた。
また、新・市民プール建設について尋ねると、市長は「具体的な案を示すことはできない」とした。
市長の答弁では、「JR北海道からは、札樽間の短縮を図るため、桑園駅・星置駅も停車しないこととし、銭函駅においても停車は難しいと言われている。銭函地域は札幌市に隣接し、本市の人口対策上も重要な都市であることから、今後も要望を続けたい」とした。
新・市民プールについては、「市長、副市長、教育委員会と関係各部による新市民プール整備検討会議を立ち上げ、5月27日に第2回目の会議を実施し検討を進めている。小樽公園を含め、建設候補地に考えられる場所を洗い出し課題を整理し、他都市のプールの規模や建築費等を調査した。
小樽公園での建設案が進まない理由は、小樽公園を含めた建設予定地の比較検討を進め、多額の建設費や経費節減など、幅広視点で慎重に検討する必要があり、現状では具体的な案を示すことはできない。プールを主体とした施設についての建設費は9億〜25億円。体育館にプールなどを建設した場合は、約30億〜90億円となる。引き続き、必要な調査を行う」と述べ、市長公約の実現には程遠い現状があらわになった。
これまで何度も指摘があった、小樽商工会議所が新幹線新駅策定会議に委員としての参加については、「6回の会議のうち、すでに3回が終わっている。アドバイザーとしての参加を求め、どのような形で係るか検討し協議を重ねているが、この場では内容は示せない」とし、未だ何も進んでいない状況を明らかにした。
北海道・小樽市及び小樽警察署等関係機関で構成する「おたるドリームビーチ海水浴場対策協議会」において、海の家及び海水浴場利用者に関するルールが策定されたことを受けて、このルールの運用と監視体制について質問。
市長は、「監視員は平日3名、土日祝日6名を配置。今季終了後に、協議会を開催し、問題点や課題を整理する。見直しが必要な場合はルールの改正を行う。監視については、協議会構成機関で、開設前と開設期間中に合同パトロールを行い、期間中は北海道と市が交互のパトロールを実施する。関係機関が協議会を立ち上げ、ドリームビーチの賑わいを維持しつつ、地域住民との生活環境との調和を図り、誰もが快適で安心安全な海水浴場を目指して、利用者と関係者が遵守すべき約束事と位置付けている」と答弁した。
「違法建築物の数は、サンセットビーチについては平成28年5月末で55棟を確認。これ以外で、平成27年11月時点で把握している違法建築物は、東部地区の2ヶ所において合計70棟あった。建物が未登記のため所有者の特定には時間を要する。北海道や警察等の関係機関と連携を密にして、引き続き粘り強く違法建築物の是正に向けて取り組む」との考えを示した。
市長の人事について、「匿名での通報があったことは、少なからず職員の中に市長に対して不信感を抱くものがいる」と酒井議員は指摘。また、「職員のモチベーションに関して低下していない」と答弁を繰り返したが、公益通報や人事移動による早期退職や降任願いなど、時間の経過とともに、市長への不信感が深まるばかり。この1年間どれだけの職員が犠牲になっているか考えたことはあるのか、また、後援会通信に関しては市長の今後の政治姿勢と大きく関わりがある」と誠実な答弁を求めた。
市長の認識は、「この度の公益通報は匿名であり職員からとの事実確認はとれていない。職員のモチベーションについて何も話すことはない。次に、早期退職者や降任願いを受けての職員のモチベーションに関しては、管理職で降任を希望された人に対しては、その理由や事情を聞き、やむを得ないと判断し、モチベーションとの関係はない」とした。
後援会の会報については、「特にない。発行責任者の名前の記載については、おそらく私の名が分かるものであり、あえて発行責任者や連絡先を入れなくても良いと判断したと思う。今後、記載するよう伝えている。内容には、後援会にご確認していただきたい」と述べ、これらの市長答弁に質問議員の怒りが高まっていた。
「後援会通信の事実と異なる内容について、今年2月に4会派連名で、森井市長に質問書を提出したが、説明もなく受取を拒否。その後、市長と幹事長宛に質問書を郵送、不在のまま放置。その後、再度質問書を作成し、連名で5月20日に幹事長に送付。5月21日に配達が完了した通知があったが、その後、何も回答がなかった」。
「答弁をもとに、議員は質問する権利があり、市長には答弁する義務と責任がある。今回の質問書の対応をどう思っているか」と質問したが、再々質問の回答で、市長は、「後援会通信は、私としては大変ありがたい。私のための善意であり、失礼にあたる」と答弁した。
千葉議員は「職員人事や後援会幹部の参与、除雪委託業者の構成人数を突然変更し、雪が降る間際までJVが決まらなかった。自らの発言による混乱は議会だけでなく信頼関係を失いかけ非常に残念である。今後の市政運営に与える影響を懸念する」とした。
市長は、「市民と約束した政策を1日でも早く実現したい気持ちで、まちづくりに対する思いを職員に伝え、具体的な施策づくりに全力で取り組んできた。厳しい財政状況など多くの課題がある。思いや公約を市政に反映させる第1歩となる予算編成を通して、ひとつひとつ実行に移すことで、変化を感じていただけると思う。よりこの街の可能性を広げ、公約実現に向けて一層の努力をする決意を新たにした」と述べた。
「平成27年度は、土壇場での変更により入札業者が決まらず、業者や市民に不安を与えたが、平成28年度は、構成員は何社以上とするか、その他の変更はあるのか」と質問した。
市長は「入札については、昨年度の分析を行っている。共同企業体の構成人数等の入札要件を検討し、できるだけ早く示したい。除雪費の執行予算については、除雪費の総額は、決算見込額約12億4,117万円。除雪作業に係る経費は予算額約3億4,877万円。決算見込額約3億6,016万円、執行率約103%。排雪作業に係る経費は予算額約2億8,030万円。決算見込額約2億158万円。執行率約72%。
貸出ダンプ経費は、予算額約7,000万円。決算見込額約1億497万円、執行率約150%。昨年度、一度も排雪作業が行われなかった路線は、全769箇所中357箇所あったが、丁寧な除雪を行い、道路脇の雪山が大きくなり、除雪での対応が困難になった時点で必要な箇所の排雪を実施し、従来のプロセスを徹底した。出動基準を見直したことで段差が解消され、ロードヒーティング付近の段差が小さくなったと聞き、おおむね効果があった」と答弁した。
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