小樽商科大学(緑3)言語センター・井上典子准教授のゼミ生10名と賛同した学生2名は、小樽を訪れる外国人観光客に対応した英語表記の天狗山エリアを紹介するマップ3万部(A3・2つ折り)と、天狗山山頂施設に設置する英語表記のパネルを完成させた。
学生観点で見た改善策を提案する3つの事業「天狗山と山手エリアのグローバル観光推進への取組」を行った。
この取組は、小樽商科大学地(知)の拠点整備事業(COC事業)の一環で、井上ゼミでは3プロジェクト目となる。昨年7月、中央バス観光開発株式会社や観光振興室職員と検討を進め、小樽運河周辺に訪れる観光客を、天狗山エリアに引き込むために、マップは、小樽運河周辺から天狗山エリアの情報を満載。
フランスとフィンランド出身の学生が外国人視点でアドバイスし、サイン班は、ロープウエイ施設内のスキー資料館と天狗の館に日本語表記が多かったものを、外国人にも分かりやすく英語表記を加え、パネルにした。
マップ班は、和食を提供する飲食店などを分かりやすく掲載。その裏面には、同社と協力して、天狗山ロープウエイ施設の天狗山神社や天狗の館、小樽スキー資料館、展望レストランを英語で解説している。スープカレーケランやガラス手作り工房のザ・グラススタジオ・イン・オタルへは直接取材した。
絵の得意な学生による、可愛らしさと愛嬌のある天狗をイメージしたキャラクターの挿絵も描かれ、親しみやすい内容となっている。日本人への説明も大変な”天狗”を、外国人へどう説明するかが大きなテーマとなり、学生は苦労したという。
プロジェクトリーダーの佐々木杏菜さん(22)は、「日本神話の話から天狗の由来など、どんなご利益があるかなど掘り下げ、天狗のイラストも描いて、見た目でも全面的に押し出し、日本の文化に触れてもらいたい意向を反映している。鼻撫で天狗の英語での説明には一番苦労した。観光に訪れたついでに気軽に触ってもらえるようにした」と話した。
井上准教授は、「英訳して外国人が分かるように書こうとする段階で、直訳しただけでは通じないことが分かり、日本語ができるところでひと段階。外国人観光客向けへ英語にする次の段階でも苦労した。日本の文化も知ってほしいところも重視した」と話した。
橋本煕さん(22)は、「既存の説明文は、天狗山に日本語文として存在していたもので、それを単純に訳するだけでは不十分。潜在的に持っている日本の神話の知識を言葉に直し、まったく知識のない外国人へ分かりやすく伝わるように言葉に落とし込み、さらに英語に訳す作業が大変だった。神話に対する英語の言葉使いや、外国人にとって分かりやすい英語に苦労し、作り込むうちに問題点が見つかった」と振り返った。
平成27年度の天狗山ロープウエイとリフトの利用客は55万人。そのうち、外国人利用客は5万人で昨年の1.5倍。平成26年度は53万人が利用していた。
同社・大坂則幸業務課長は、「外国人観光客は、前年比1.5倍に増えているが、まだまだ認知度が低い。街から近い天狗山であることを知ってもらいたい」と期待した。
マップは、市内の観光案内所や観光施設等へ配布し、パネルの設置は、夏期営業開始の4月9日(土)に合わせて学生が設置する予定。
◎小樽天狗山ロープウエイ
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