色内小に組立式能舞台! 能体験会100名集う

 3月末で閉校する色内小学校(稲穂5)体育館で、能楽連続ゼアミナール「みんなで能を体験しよう」が、3月29日(火)14:00から開かれた。宝生流の同吟・仕舞・舞囃子の演奏会、楽器の体験や、能面の講話に、約100人が来場して、日本の伝統芸能を親しんだ。
0329zeaminarl1.jpg 能楽が小樽に根付いてほぼ100年の節目となり、能舞台の再建の活用を目的とする市民団体・旧岡崎家能舞台を生かす会(三ツ江匡弘代表)が主催し、「小樽能楽100年記念祭」として開かれた。
 様々な体験を通じて能楽を学ぶゼアミナールは、今回で4回目。「能の楽器(囃子)について」をテーマに開かれた。今回の特徴は、小樽で発見された北海道最古と思われる1935(昭和10)年に製造された旧小樽昭声会組立舞台を、同校体育館で組み立て使用した。
 組立式能舞台の研究に取り組んだ北海道職業能力開発大学校(銭函3)の建築科・的野博訓准教授と2年生の学生10人と大工が、26日(土)の朝9:00から能舞台の組み立てに精を出し、8時間かけて完成させた。
 研究では7回組み立て、完成させたのは、昨年、初公開となった同校開催のポリテックビジョンでの能舞台の催しの時と、この度の2回。部材の歪みや紛失した部材を復原し、不備な部分や使い勝手を考慮するなど、より完成度の高い能舞台を組み立てた。
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 旧小樽昭声会組立能舞台復原に関する研究は、機能性と組立方を向上させた組立式能舞台の復原に大きく貢献し、国内の職業能力総合大学校25校のうち、最優秀賞を受賞するなど、各方面で高い評価を受けた。
 同大・西澤天汰さん(2年)は「今回は渡辺昭声会寄贈の揚幕や金屏風の装飾も設置し、学校で組み立てた以上の舞台が完成し、沢山の来場者が来て嬉しい」と満足していた。
 はじめに、三ツ江代表から、組立式能舞台の経緯や能についての話があった。鏡板の老朽化など修復したい部分を上げ、今後、完全復原に近づけ、学生が組み立てているため、組手を育てるなど課題が多いことを述べた。
 最初のプログラムは、能の楽器(囃子)について、生きとし生けるものの心をテーマに、嬉しい・悲しいなどを表現する笛・小鼓・大鼓・太鼓について、奏者から説明があった。
0329zeaminarl3.jpg 演目は、めでたい曲を代表する「高砂」(たかさご)の一部分の同吟「四海波」、羽衣伝説をもとにした仕舞「羽衣」、三千年に一度しか実らない桃を皇帝に捧げようと優雅に舞う舞囃子「西王母」が演じられ、古典芸能・能に親しむ貴重な時間を過ごした。
 その後、舞台で使用された笛・小鼓・大鼓・太鼓の楽器、舞台に上がり面や所作、能面作家の講話の6つのブースに分かれて体験会が開かれた。
 能面のコーナーでは、能面14個と制作段階を追っての能面を展示。能面作家30年の外沢照章氏が、素材・彩色・作業工程について説明し、参加者は、面に触れるなどして熱心に説明を聞いた。
 笛・鼓・太鼓などのコーナーは、奏者から直接指導を受けられ、実際に笛を吹いたり、太鼓を叩いたり、会場は楽器の音が響いた。

 能舞台には、白足袋を履いて入り、能面をつけて舞台の上を歩く体験をした。講師を務めた菅田昌義氏は、「能面からの視界は狭く、目の変わりになるようすり足で歩き感覚を磨き、柱を目印に自分の位置を感知する」と説明した。
 所作の体験に参加した坪内柚香ちゃん(小2)と母親は、「お面をつけて歩き楽しかった」と話し、母親は「大地を踏みしるように歩くよう説明があった」と話し、体験を楽しんでいた。
 組立式能舞台は、30日(水)に、組み立てた学生らによって解体され、31日(木)に搬出される予定。
 旧岡崎家能舞台を生かす会
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