小樽市総合博物館運河館(色内2)では、1月4日(月)から第1展示室で、トピック展「星の砂の仲間たち~小さな化石・有孔虫(ゆうこうちゅう)~」の企画展が始まった。
顕微鏡でなくては見えないような数十ミクロンから数ミリの小さな生き物「有孔虫」にスポットを当てた、道内でも珍しく小樽では初めての企画展。
この企画展を担当する同館・森崎夏輝学芸スタッフ(28)は、生態学等を専門として、昨年7月から同館に勤務し、「有孔虫のことを知ってもらい、会場に来て興味を持ってもらいたい。地球の歴史を考える上でも重要な生き物」と多くの来場を呼びかけた。
沖縄の土産として一般的に知られる「星の砂」の正体は、有孔虫と呼ばれる生き物の殻。有孔虫は石灰質の殻を持つ小さな原生動物。多くは海に、一部は淡水にも、浅い場所から深海まで、恐竜が現れるよりも昔の約5億年前から今日まで世界中に生息し続け、約6万種類あると言われる。海で生活する底性有孔虫と、海を漂って生活する浮遊性有孔虫がある。
殻に特徴があり、星型や太陽型、旋回したり球状だったりと、複雑で精密な形の有孔虫の世界に引き込まれる。
会場には、森崎氏が以前学んだ研究室の教授の所蔵物を借り、実物の有孔虫40点と、写真パネル15点を展示している。小型有孔虫の科学的な研究は18世紀前半から始まり、有孔虫の殻は、陸上の地層や海底からも採取されている。
森崎氏は、「どこにでもいるからこそ、当時の環境を知る手掛かりになる。不思議なことに、全世界で同じ種類が見つかる。2000〜2500年前に生息した有孔虫が見つかると、他の地域の地層から同じ有孔虫が発見されると年代を知ることができ、世界中で比較することができる」と、有孔虫の魅力を語る。
展示物の中には、未知の世界の海面下2,282mから採取された海洋堆積物有孔虫の殻を多く含む海底コアや、その堆積物を0.063mmのふるいにかけ残ったものを小瓶に入れて展示している。
小樽の海岸の砂スプーン1杯分を、40倍の顕微鏡で見ると発見することもあり、国内では、大きいもので2mmほどの星や太陽の砂を見つけることができる。
また、日本銀行旧小樽支店(現金融資料館)の1階営業場カウンターに使われている大理石の中に、原生動物有孔虫のフズリナ(石灰岩中に現れる化石として知られる)を見ることができる。
運河館トピック展「星の砂の仲間たち~小さな化石・有孔虫」
1月4日(月)〜3月25日(金)9:30〜17:00 小樽市総合博物館運河館(色内2)第1展示室
企画展に関連して
●ギャラリートーク 2月・3月(未定)
小樽市総合博物館運河館(色内2)第1展示室 入館料のみ
●チャレンジラボPLUS「レンジでつくる有孔虫のストラップ作り」
1月6日(水)・7日(木)・8日(金)・13日(水)・14日(木)・15日(金)
①10:20〜11:40、②13:00〜14:20 各回10名(小学生3年生以下は保護者同伴)
小樽市総合博物館(手宮1)本館2階・実験室
入館料と材料費500円 申込受付4日から 0134-33-2523 森崎