小樽市総合博物館(手宮1)では、同館の指導員や学芸員が小樽の歴史や自然・科学などをテーマに、話題を提供するミュージアムラウンジが、毎月開かれている。
今月は、伊藤公裕学芸員が講師を務め「スバル360ってどんな車?」が、12月12日(土)、同館・2階研修室で開かれ、車好きの市民ら25名が参加。「てんとう虫」の愛称で親しまれたスバル360の魅力に耳を傾けた。
伊藤氏は、これまでに、アイアンホース号の整備点検方法や船について講演し、エンジン系統に詳しい技術者。どんな仕組みなのか知るために、スバル360を2013年秋に購入し、愛車にしていることから、同館の自動車館で静態保存している同車を、今年の夏頃から整備して、エンジンがかかるように修理している。
スバル360の諸元や特徴などを分かりやすく説明し、その後、場所を自動車館に移動し、実物を見ながらの説明で、名車の魅力に触れた。
同車は、富士重工(スバル)が開発した4人乗りの軽自動車。1958(昭和33)年から1970年(昭和45)年まで生産され、49万台売れた。
ボディは、モノコック式と言われ、それぞれのパーツに剛性と強度を持たせるため、曲線加工している。0.6mmの薄い鉄板を曲線加工し、力を分散させ剛性を実現。骨組みをなくして軽量化し、居住空間を広く取ったことも特徴。
軽量化については、屋根にFRP(強化プラスチック)を採用し、リアガラスには、アクリル板を使用している。
2ストロークエンジンを搭載し、コンパクトだが比較的大きな出力。当時36.5〜39万円と安価に抑え、燃料は混合ガソリンを使用している。車のコストを下げ、丈夫で安心して乗れる車を作り、多くの人に乗ってもらう大衆車が会社の狙いだった。
モデルチェンジはないが、構造はより良く改造され、1970(昭和45)年まで生産された。その後、現在まで、同車の継続車R-2が技術を受け継いでいる。
ブレーキの特徴や当時のCM、市内で走行中の古い写真なども紹介し、広く親しまれていた名車を振り返った。
参加者は、構内の自動車館に移動し、所蔵の「スバル360 K111型」を見学した。1969(昭和44)年車で走行距離2万km。全長2990mm・全幅1300mm・全高1360mm・重量415kg。
車内やエンジンルームなどを公開し、参加者は、エンジン音に歓声を上げ、スバル360を堪能した。
市内84歳の男性は、「当時中古を25万円で購入し、一番最初に乗った車。フェリーで家族4人で四国を旅行した思い出がある。今日の話は面白かった。現在は、スバルのR-2に乗っている。そろそろ、免許証を返さなくてはと思っている」と懐かしそうに名車を眺めていた。
伊藤学芸員は、「エンジンがかかるようになったので、今後、館内を走行させることができれば」と話した。
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