就任わずか1ヵ月半の市長・市議会議員が、高額の夏のボーナスを懐にして開会中の6月24日(水)の第2回定例会で、市長・市議会の「言った言わない」のやりとりで、小樽市議会史上初となる一般質問が中断されたまま、予定していた市議会日程が流会となる事態が現出し、森井市長や市議会の議会運営の市民不在ぶりが露となった。
小樽市議会(横田久俊議長)第2回定例会は、6月24日(水)13:00から、一般質問が行われ、中村岩雄・高橋龍(新風小樽)、酒井隆裕・高野さくら(共産党)、酒井隆行(自民党)、中村誠吾(民主党)、秋元智憲(公明党)の7名が質問を予定していた。
本会議冒頭、森井市長から発言の申出があり、昨日の定例会の開始時間を1時間半も遅らせてしまったこと、答弁漏れが多いことの2つを陳謝した。同時に、市長は、議員の再質問・再々質問が早口で聞き取れないため、議員にはもっとゆっくり発言してもらいたいとの異例の「お願い」を要望した。
その後、予定通り、中村・高橋・酒井(隆裕)議員が一般質問を行い、14:22に休憩に入ったが、再開した14:55に、秋元議員からの議事進行についての動議を受け、昨日に引き続き、審議を中断し休憩に入った。理由は、冒頭の市長の発言に疑問が生じたためだった。
連日、傍聴席には、20名ほどの市民らが集っていたが、昨日に続き、審議が中断するパプニングに見舞われ、傍聴者は迷惑そうな表情を浮かべて、再開を待っていた。いつ再開するかも知らされず、傍聴席に残った人は5名、4時間20分後の19:15にやっと再開した。
横田議長は、「会議冒頭での市長からの発言の中で、議会運営委員会と同意した内容と異なる発言があったことから、この発言は、議会との信頼関係を大きく損なうものであるとして、その修復に向け、議会運営委員会の理事会や委員会を開催し、協議を行った。しかしながら、市長と議会との信頼関係が修復されない中で、一般質問を継続することは不可能と判断した。これをもって散会する」と述べ、予定していた4名の一般質問は小樽市議会史上異例の中止となった。
市長が議会開始時刻を遅らせたことと答弁漏れが多いことについて、冒頭、陳謝したい旨を、総務部長から申し出があり、また、再質問・再々質問での議員の質問が早すぎて聞き取れないため、ゆっくりと発言してもらいたいとの要望については、本会議場で発言するほどのものでないとの認識から、市長が要望しないとの約束が出来ていたにも関わらず、森井市長が冒頭の発言の中で、陳謝に続き、この「お願い」要望を言ってしまったことで、今回の市長VS市議会の騒動に発展した。
このやり取りの中、議場は、多くの議員の野次が飛び交う騒然とした修羅場と化し、政策論議を放り出し、審議の府としての機能は吹き飛んでしまい、ただ騒がしいだけの市民不在の市議会となった。
これは、これまで長年にわたり、市政を牛耳ってきた5者相乗り体制(自・公・民、連合小樽、小樽商工会議所)の中、市長選で、この弊害を声高く叫んで圧勝してきた森井新体制のプライドと、これまで小樽市政を支えてきた旧体制とのプライドとが、激しくぶつかり合った結果だった。
しかし、小樽市議会の混迷は、直ちに小樽市民の日常生活に影響するだけに、市長・市議会がそれぞれの立場を尊重しながら、譲り合いながらの市政・市議会運営が求められるが、今回の定例会は、森井市長にとっても市議会議員にとっても初の論戦であったためか、市長・市議会の角付き合わせる闘牛場となってしまった。
25議席のうち、与党はたった1人(無所属)しかなく、自(7)・公(5)・民(4)の旧体制が絶対多数を占める市議会で、森井新市長の取りうる選択肢は、極めて限られていると言える。
市議会のこの構成も、市民の選択肢の結果であり、市長選で圧勝したから何でもできると考えるのも、市議会が多数をたのんで何でも阻止するとするのも、地域民主主義の崩壊に繋がりかねない。小樽は今、大きな危機に直面しており、市民の目が市議会の今後の推移に向けられなくてはならない。
この意味で、24日の流会結果を、25日(木)に、どう正常に戻すかが、今、市長や市議会議員全員に問われている。
市長は、小樽ドリームビーチに市営の海水浴場を開設し、7月17日の開業に間に合わせる補正予算を会期途中で採決する先議を求め、25日(水)の予算特別委員会で審議を予定し、26日(木)の本会議で採決することとなっていたが、これも、今のところ、極めて不透明な状況となった。
25日(水)の10:00から、議会運営員会の理事会、10:30から委員会を行い、今後の日程について話し合う予定で、今後の推移が極めて注目される。
小樽市HPの議会予定表も、25日(水)から白紙となっている。
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