市民会館
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総合体育館
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市役所本館
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市役所別館
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第13代小樽市長に就任した森井秀明市長の前に、突如として、大きな難題が持ち上がった。
小樽市を代表する大規模建築物の市民会館・総合体育館・本庁舎本館・本庁舎別館の4件の建物で行った、初の耐震診断で、「震度6強で、大破か倒壊する危険性が高い」とのショッキングな結果が出たことが分かった。
小樽市建設部が5月15日付けでまとめた「平成26年度耐震診断結果」は、市民が日常良く使っている公共施設4件の大規模建物が、診断結果の3段階の指標の中で、最も危険度が高いと分類され、関係者に衝撃が走っている。
この耐震診断は、国の「耐震改修促進法」に則って行われたもので、多数の人が集まる大規模建物は「特定建築物」とされ、耐震診断を行うことが国から求められていた。
小樽市建設部では、この4件の大規模建物を対象に、平成26年度に、専門業者に委託して6ヶ月を掛けて行っていた耐震診断が3月末に終わり、この診断結果を5月15日付けでまとめた。
これによると、小樽市を代表する市民会館・総合体育館・市庁舎本館・市庁舎別館の4件の大規模建物は、何れも大幅に耐震基準を下回り、「震度6強で、大破か倒壊する危険性が高い」と、最も悪い数値が出た。
耐震基準の数値とされているIs値(Seismic Index of Structure:耐震指標)は、0.6(学校は0.7)とされており、この数値を上回れば危険性は低く、数値が下回れば危険性が高くなる。小樽市の4件の建物は、何れもこの数値を大幅に下回っている。
特に、市民会館は0.080、総合体育館は0.055と極めて低く、本庁舎本館は0.280、本庁舎別館0.158 と、いずれも基準値に達していない。これにより、Is値3段階の評価では、最も悪い「倒壊の危険性が高い」となった。また、大地震の被害との比較では、「Is値が0.4以下の建物の多くは、倒壊または大破しています」とされている。
これらの4件の建物は、建築されてから40~80年も経過しており、老朽化が進んでおり、今回の精密検査の診断結果で、その老朽度が数値で裏付けられ、市は早急に耐震補強・改修か新築かの「緊急手術」を視野に入れた判断を迫られることになった。
また、同じく5月15日に、教育委員会から小中学校4校の耐震診断結果も出されたが、奥沢小・幸小、潮見台中・朝里中とも、学校の基準値のIs値0.7を下回っており、耐震補強が必要とされている。
市の工藤裕司建設部長は、「国の法律に基づいて、市の大規模な建物の耐震診断をしなければならないので、平成26年度に外部に委託し、半年間を掛けて耐震診断した結果が出た。他の自治体でも多くの例があると思うが、小樽市にも古い建物が多く、Is値の3段階で一番悪い結果が出た。大規模建物の耐震診断は、小樽市では初めてのもので、平成27年度には、保健所と桂岡小の2件を診断する。市は現在、公共施設等総合管理計画を策定中で、この中で対応を考えていきたい。耐震補強・改修には、優先度や予算の問題が大きい」と困惑の様子だ。
小樽市は、過去に旧マイカル、旧丸井今井など中心部再開発、新市立病院など箱物の大型投資で財政が一挙に悪化し、借金だらけとなり、山田勝麿市政下で”日本一の貧乏都市”と、市長が自嘲するまでの貧乏都市に転落した。◎関連記事1 ◎関連記事2
この間、、老朽化が進む公共施設の大規模建物の補強改修などには、予算がつかず後回しにされ、放置されてきた。今回の耐震診断結果でも、この後手に廻った長年の市政運営の杜撰(ずさん)さが、改めて浮かび上がった格好となった。
市庁舎という小樽の城取りを果たして就任間もない森井市長の前に、歴代の旧政権が残した負の遺産が大きく立ちはだかることになった。
◎耐震性能とIs値(耐震指標)について
◎建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法案
◎日本耐震診断協会HP