第18回統一地方選の後半戦の4月19日告示・4月26日投票の小樽市長選挙の開票が、26日(日)の投票終了後の21:00から、小樽市総合体育館(花園5)で行われ、現職1・新人2の3人の戦いを制したのは、新人の森井秀明・元市議(42)で、現職中松市長(68)の再選を阻んだ。
激戦の市長選で、自民・公明・民主・連合小樽・小樽商工会議所の5者相乗りの絶大な既成勢力の磐石な支持基盤が、42歳で3度目挑戦の無所属新人の前に、もろくも崩れ去った。
小樽市政史上の長年にわたる5者相乗りの官民癒着の権力構造が、ガラガラと音を立ててて崩壊するという大番狂わせが、厳しい現実のものとなり、市内の各界に驚きが広がっている。
<市長選結果>確定 投票率60.21%
当 森井 秀明 無新 38,132
中松 義治 無現 23,268
吹田友三郎 無新 1,530
有権者数105,902人(男46,756・女59,146)・投票者数63,761人(男28,265・女35,496)
森井氏の勝因は、その選挙戦略にあった。政策を語るよりも、雪の積もる中での市内各所でのたったひとりでの”辻立ち”と、1人1人との握手戦略だった。”辻立ち”が、同情を呼び、市内の婦人層の琴線に響き、これまでの小樽市政への積もった不満が、現職拒否に集約されて、新人森井氏に軍配を挙げた。
そして、市民の知らぬ間に、中松市長がカジノ誘致を言い出し、カジノに関する会合に補助金を支出し、韓国まで出かけてカジノ視察を行った上で、市民の意見を聞かずに、小樽をギャンブル都市に変えようとした強引な姿勢に対し、森井氏が「小樽にカジノはいらない」と反対姿勢を打ち出し、市民の共感を呼んだことが、今回の勝敗に大きく影響し、現職に15,000票もの大差をつけた。
中松市長は、選挙直前になって、市民の間でカジノ誘致反対の声が多いことから、急きょ、「再選されても次期任期中はカジノ誘致をしない」と方針転換を図ったが、時すでに遅く、新旧交代の波に飲み込まれてしまった。
しかし、当選した森井新市長の前途は、すこぶる多難だ。市議会の構成は、大部分が反森井の政党会派が立ちはだかっている。自らの政策や予算を通すにも市議会の承認・同意が必要なだけに、立ち往生する可能性も高いと指摘する関係者も多い。
また、市役所を今後どのように運営するかも、大きな課題が横たわっている。まずは、市役所幹部職員の人事を決めなくてはならないが、副市長人事などで議会承認・同意を取り付けられるか。市職員が、これまでと真逆の市長方針に対処できるのか。市政や市議会運営の手腕が厳しく問われることになる。
いずれにせよ、小樽市の権力構造の新旧交代を良しとする小樽市民の歴史的審判は下ったのであり、今後4年間の任期で、森井新市長がどのような舵取りをするか、極めて注目されることになった。