8月15日(金)、69回目の終戦記念日を迎え、小樽商科大学(緑3・和田健夫学長)構内の石狩湾を望む高台に立つ緑丘戦没者記念塔で、11:59から「戦没者慰霊祭」が行われた。
遺族や緑丘会会員、学生代表、大学関係者ら80名が出席し、戦火に散った347名の学生・教員などの御霊に祈りを捧げた。
同慰霊塔は、同大学の名誉教授であった松尾正路氏の呼びかけで、1969(昭和44)年に完成。大学構内にある慰霊塔は珍しく、建立以後、毎年途絶えることなく行われ、今年で46回目となる。
墓石には、347人の氏名が刻まれ、「戦の野に果つるとも 若き命 この丘にとヾまりて 消ゆることなし 友よ 安らかに眠れ」と書かれた碑石が納められている。
街中に響き渡る12:00のサイレンを合図に、参加者全員で黙祷を捧げた。
和田学長は、「先の大戦の中で志半ばにして尊い命を落とされた、本学の学生・教員347人の方々の御霊に、謹んで哀悼の意を捧げる。終戦後69年を経てもなお、最愛の家族、友人、恋人を失った遺族の方々の悲しみは消えることはない。
先の大戦により、夥しい数の人々が理由もなく命を失った。戦争の影響はそれのみには留まらず、戦争は、終わったあとも国民や民族の間に憎しみや対立を残し、何世代にも渡り、関係国を苦しめる。そのことは、今だに解決できない外交問題に現れている通りである。世界の多くの人々が未曾有の悲劇を体験したにも関わらず、世界の至る所で、民族が争い、戦争を止めることができない。我が国では、戦後多くの日本人が戦争の過ちを認め、真摯な反省に立ち、昨今の複雑な波に飲まれ、揺れ動いている。
しかし、政治の世界がどのように変わろうとも、平和を願う人々の心を奪うことはできない。碑石に刻まれている追悼の言葉を噛み締め、若き命を奪われた同窓の無念さに、小樽商科大学は、改めて未来に向かい、冷静に歴史や物事の本質を見極め、相互の理解と信頼のもとに生きることのできる平和な社会を支える人材を育てることを誓う」と挨拶した。
参列者ひとりひとりが白菊を献花し、静かに手を合わせた。グリー&カンタールのメンバー7名が、校歌の1節と4節を斉唱し、参列者も一緒に歌い、故人を偲んだ。
式は30分ほどで終了し、その後、同会場で懇談会が開かれた。
同大学名誉教授・篠崎恒夫氏は、「昭和41年に同大学に着任し、その3年後に、同僚の松尾氏によって慰霊碑が建立され、45年間見守ってきた。雨の時もあったが晴れの日が多く、ほとんど欠かさず、慰霊祭に出席している。遺族の方々もお年を召されたと感じた」と話した。
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