春らしい陽気となった4月24日(木)、朝から気温が上昇し、13:10には最高気温19.7℃を観測した小樽市内では、12:00過ぎから15:00頃まで、石狩湾で蜃気楼が発生したとの報告が相次いだ。
北海道・東北蜃気楼研究会のメンバーは、札幌在住の気象予報士・金子和真さんの蜃気楼発生期待度や、天候・気温・風向きなどから、蜃気楼の発生を心待ちにしていた。
14日(月)12:40頃に、同会メンバーの志賀健司さんは、石狩浜海水浴場の砂丘上から高島岬トド岩に、わずかに伸びる蜃気楼の発生を観測した。21日(月)にも同じ場所の変化を観測している。
そして、24日(木)は、小樽総合博物館・大鐘卓弥学芸員が、12:30から13:30まで、高島から見る石狩湾新港のタンクの変化を、志賀さんは、石狩浜から厚田方面での蜃気楼を相次い観測した。観測者は、石狩湾蜃気楼情報ネットワークに情報をリアルタイムに発信している。
毎年、大規模蜃気楼や面白い変化の蜃気楼を画像や動画に収めている、札幌在住の同会メンバーの柴田進さんも、同日、銭函海岸へ観測に出かけ、13:00過ぎから15:00にかけて、石狩湾で蜃気楼が発生し、LNGタンカーと北石狩衛生センター、球形タンク群の変化を画像に収めることに成功。
画像提供:柴田進氏
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柴田さんは、今シーズン初の本格的な観測へ出かけ蜃気楼に遭遇。「小樽側の地形は、蜃気楼化されていなかったように思う。トド岩がいつもより大きめのような気もしたが、はっきりとは分からない状況。ところが、反対方向の石狩湾新港側、特に厚田~浜益方面は、繰り返し蜃気楼化されていた。海面近くの地形がバーコード状になることが多いが、今回は、少し標高の高いところがバーコード状になる姿を見た。そのせいか、石狩湾新港沖に停泊していたLNGタンカーは、煙突や操舵室の部分が伸び上がる姿を確認できた。
また、石狩川の河口に位置する北石狩衛生センターも反転像が確認でき、おもしろい姿を見せた。それから、球形タンク群も頭頂部がフラットになる姿が確認でき、銭函からの距離が13Km弱と近いので、あまり変化しないことが多い対象だが、双眼鏡等で見るとその違いが分かる。また、今回は全体的に霧というのか、モヤが強い印象だった」と感想を話した。
同会メンバーや蜃気楼愛好家らは、毎日の天気や気温が気になる日が続き、誰もが見て分かる対岸の建物が大きく変化する大規模蜃気楼を期待している。石狩湾蜃気楼情報ネットワークでは、25日の蜃気楼発生期待度は20%と配信している。
春の風物誌とも言われる上位蜃気楼「高島おばけ」が観測されたことで、市内の本格的な春の訪れとともに、観光シーズンの幕が開くが、小樽の特異な蜃気楼現象に興味を見せる観光客はまだ少ない。
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