議員定数削減を審議する小樽市議会(横田久俊議長)第1回臨時会が、4月21日(月)13:00から開かれ、いつもは閑古鳥の鳴いている傍聴席には市民30人ほどが座り、その行方を見守った。
しかし、見守る市民の前で繰り広げられたのは、日付が変わった深夜まで理事会等を継続していたのに、結局、何も決められずに幕を閉じ、市民に背を向ける小樽市議会の低レベルのドタバタ劇だった。
提出議案は、今回の焦点となる議員定数削減についての議員提案2件。市長提案の予算議案・人事案件・専決処分報告が各1件、その他の報告では繰越報告等4件。補正予算については、全額、北海道からの補助金、あるいは委託金による事業で、早期の実施が求められるため提案した。
小樽市議会議員定数条例の一部を改正する条例案では、7人を削減する「一新小樽」、3人を削減するとする「自民、公明、民主市民連合」が提出し、注目が集まった。
はじめに、「一新小樽」の成田祐樹議員は、小樽市議会議員定数28人を7人削減して21人にする条例案の提案説明を行った。
「市民から、議員への相談や陳情に対して、以前よりもはるかに連絡が取りやすくなった。携帯電話の普及やメールでの相談も可能となり、通信機器の発達により、どこにいても連絡が取れるようになった。議員からの情報発信もブログやツイッター、Facebookなどにより増えた。人口減少が著しく、移住、雇用、子育てなど、様々な設備が必要となり、その予算を少しでも議員自らの身を削って捻出したい。21人での常任委員会では、現在の4常任委員会を、3常任委員会にし、7人の委員で構成し、合計21人で委員会を運営することで、より多くの市民の理解を得られることに繋がると考える」と説明。
続いて、議員を3人削減し25人にする条例案の提案説明では、3会派を代表して自民党の前田清貴議員が説明した。
「本市の人口は、昭和39年9月20万7千人をピークに減少の一途を辿っている。昭和62年の4月の選挙では、人口が17万人台となり、議員4人を削減し36人とした。平成15年には、4人減の32人、平成19年に、4人減の28人となり現在に至る。合計3回の議員削減をした」と経緯を説明。
「1議員に対して市民5,000人を超えない程度に見直すこととし、28人で来年の選挙を施行した場合、人口約12万5千人となり、市民理解を得ることからも議員定数削減は避けて通れない。議員25人とした場合、議員1人あたり、市民は5,056人となる。25人での常任委員会は、4常任委員会はそのままで、1人削減し6人で構成し、24人で行う。札幌市、旭川市、美唄市など20市が同様に行っている。問題ないものと考える」と説明した。
中松義治市長は、平成26年度小樽市一般会計補正予算、人事案件、専決処分報告について提案説明し、「一般会計における補正額は、歳入歳出ともに7,676万1,000円の増となり、財政規模は、562億6,522万7,000円となる」と説明した。
共産党を代表して北野義紀議員が、議案1・2に対して、提案者の議員に質疑を行った。
「今年2月に開かれた『議会活動と議員定数に関するフォーラム』で、廣瀬和彦氏の基調講演があり、その中での指摘や提案、総連合町会や商工会議所の意見などを考慮していない。今日臨時議会を開かなければ、6月の定例会で決めることができなくなると、強引に提案。議員定数の変更は、選挙が行われる1年前に望ましいとしていた。各党会議の合意を踏みじっている」と撤回を求めた。
「総連合町会との意見交換会では、人口がこれからも減るだろうから、議員定数を少なくするというが、議員定数をそのままに、どうしたら人口が増えるか市長と協力してもらいたい。もっと時間をかけて論議してもらたいとの意見をどう生かすか」と各議員、各会派に質問。また、提案説明の中での矛盾を指摘し、定数削減を行わず、28人の定数で、来年の市議会議員選挙を行う事が正しいと強調し、提出者の見解を求めた。
その後、「確実な答弁を行うため」との理由で本会議は休憩となったが、この休憩は、14:00~19:30のなんと5時間半もの長時間に及ぶ異例の事態となり、”夜間議会”に突入した。
19:30から再開された本会議では、北野議員が、再質問、再々質問を繰り広げ、提案議員たちと22:00頃まで質疑が続いた。
結局、提案された小樽市議会議員定数条例の一部を改正する条例案の21人案と25人案の2議案は、全会一致で継続審査とされ、議員定数に関する特別委員会に付託され、本臨時会では、決着がつかなかった。
なお、市長提案の平成26年度小樽市一般会計補正予算、小樽市固定資産評価員の選任について、専決処分報告「小樽市病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例」については、全会一致で、可決・同意・承認された。
その後、議員定数に関する特別委員会が開かれ、委員長・副委員長の互選を行い、委員長に自民党の山田雅敏議員、副委員長に共産党の北野義紀議員を選出した。その後、閉会中の同特別委員会の開催日程が論議されたが、折り合いがつかず、理事会での論議に移行した。
自公民の与党は、5月9日(金)の開会を提案したが、同日午後は、市長の病院検診が日程に入っているため、十分な審議時間が取れないとして、共産党が強く反対し、特別委の日程は決まらぬまま時間だけが経過し、”深夜議会”となった。
この日の話し合いでは、結局、日付が変わった22日(火)00:06に、特別委の開催日程すら決められぬまま第1回臨時会を終えた。
小樽市議会の第1回臨時会は、議員定数削減のために開かれたものだが、3人減(自公民)か、7人減(一新小樽)か、現状維持(共産)かが問われていた。
与党は自民8、公明5、民主4の17議席を占め、定数28の過半数を有している。それにもかかわらず、与党は共産党の手のひらで踊らされ、自ら提案した議案さえ空中分解させてしまうのは、最大会派自民党の議会運営のまずさに起因している。
この何も決められぬ小樽市議会深夜議会の有様は、直接、市民の税負担増となって市民に跳ね返ってくる。市職員の残業・深夜手当、電気・水道代等が有効に使われず、無駄に消費されてしまっただけの結果となった。
議員定数の削減の結果を見に議会にわざわざ足を運んだ市民を置き去りに、5時間半もの長時間の休憩をとっても、答弁調整も出来ず、質問にすら満足に答えられない与党議員の質が問われる事態となっている。
◎平成26年小樽市第1回臨時会
◎小樽市議会 会派別名簿(平成23年12月19日現在)