日本泳法の1つ向井流水法の平成25年度伝書授与式が、11月3日(日)の秋深まる文化の日に、水天宮(相生町3)神殿で14:00から開かれた。
日頃から泳法の練磨・心法の修養に努め、功績が認められた5名に伝書が授与され、関係者27名が出席、厳かに儀式が執り行われた。
向井流水法は、江戸幕府御船手の遊泳の原形で、我国に残る日本泳法12流派の1つ。大正5年、向井流宗家直属師範・岩本忠次郎氏が、小樽水泳講習会の講師として来樽し、多くの門弟たちを育てた。その門弟たちが師の志を継ぎ、小樽に向井流を育てた。平成3年には、「小樽市無形文化財」に指定された。
泳ぎの特徴は、もともと戦闘用の泳法で、素朴で無駄な動きを省き、力の消耗をおさえた地味なもの。泳ぎの足は、陸上を歩いているような足の運びで、半分立った姿勢の泳ぎが多い。目標物から目を離さない、素早くまわりの状況の変化に応じられる体位が求められる。平成7年には100周年の節目を迎え、これを記念し、臨海公園に『水心一如』の石碑が建立されている。
授与式では、駒木章宮司が祝詞を奏上し、師範、受伝者、審査委員長、参列者代表と玉串奉奠を行った。
引き続き、受伝者の5名「天之巻」大原一さん(小樽)・「地位別巻之二」奥野實さん(小樽)・「人之巻」真田正樹、栗山眞澄、秋山敏子(帯広)に伝書と資格証が授与された。
向井流水法の免許・資格は、人之巻・人位別巻(教師)、地之巻・地位別巻一(準師範代)、地位別巻二(師範代)、天之巻(師範)となっている。
受伝者を代表して、同会会長の大原一さんは、「心を正し、意を誠にし、業を練り、体を鍛え、もって遊泳の路に精進し、人格の修養を怠らず、生命の尊厳を心し、人命の尊重を旨とす。互いに敬愛協力し、指導の発展普及に努める」と誓詞を述べた。
川端信義師範は、「今後とも泳ぎを通じて、心身を鍛えると共に、水の道、人の道を学び、向井流の精神の探究に努め、向井流で学んだことを、今後の人生に役立て、より豊かな人生を送ってもらいたい。水天宮の神殿に誓った誓詞の五箇条を忘れずに、より良い人生の探究に努めてもらいたい」と訓示を述べた。
受伝者の大原さんは、「向井流水法とは50年以上になり、改めて心新たに、会のために微力を尽くしたいと思っている。大変ありがとうございます」と、また、奥野さんは、「子ども達を育てたい気持ちが50年以上続いた。これからも、幼い子どもへ命を守る泳ぎを教えたい」と喜びを語った。
同会は、小樽支部、帯広支部、足寄支会があり、帯広支部は、今年で50周年を迎えた。小学1年生から70歳代の50名以上の会員が日々、週1回の練習と個人的にプールに通い練習に励んでいる。同会小柴満副支部長は、この度3名が受伝者となり、「嬉しく思う。これを機に今後ますます頑張り、地域のために指導してもらいたい」と祝福していた。
◎向井流水法
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