東小樽海水浴場が、大勢の家族連れで賑わう中、「第23回向井流水法会の游法公開」が、8月11日(日)10:00から開かれた。
伝承文化の継続維持のため毎年公開され、以前は蘭島海水浴場だったが、同会場になってからは5回目となる。
水温24℃の海水浴日和となり、浮き輪で遊ぶ子ども達の姿が見られる中、向井流水会大原一会長をはじめ、22名が参加。そのうち13名が向井流水法游法の公開演技を行った。
向井流水法は、15世紀頃伊勢地方で生まれ、江戸幕府御船手の遊泳の原形で、今日、我国に残る日本泳法の12流派のひとつ。大正5年、向井流宗家直属師範・岩本忠次郎氏が、小樽水泳講習会の講師として来樽し、多くの門弟たちを育てた。それを受け継ぎ、小樽に向井流が根付いた。平成3年9月に小樽市の無形文化財第5号に指定された。
同游法の特徴は、もともと戦闘用で、素朴で無駄な力を省き、力の消耗を抑えた地味なもの。目標物から目を離さず、素早く状況の変化に応じられる体位が重要とされる。平成7年には、小樽に伝えられて100年となり、臨海公園に「水心一如」の石碑が建てられた。
同小樽支部では、火曜日は平岸プールで、水曜日には高島プールで練習を重ねている。
游法公開に先立ち、開会式で大原会長は、「今日は、一般の方に見せる年1度の特別な日。波も穏やかで天気も回復した。日頃の練習の成果を見せてあげていただきたい。小樽の海には、日頃練習でお世話になっている。揃ってよい日を迎えましょう」と挨拶。
その後、会員は、海へ入り、扇足(あおりあし・水中を歩くような足技)を主とした、横泳ぎの「水府流太田派游法術」12種目と、続いて、踏込み扇り(足首のスナップを活かして前足の裏で水を踏み込む)の半立体游法「向井流水法の泳ぎ」18種目を、次々と披露し、海水浴客は、珍しい泳ぎに見入っていた。
平水(片踏込煽・かたふむこみあおり)は、音もなく平然を心がけ、目標から目をそらさず、暗い闇の中、敵に近づく時に使用した泳ぎと説明があり、見事な泳ぎを披露した。
また、扇子諸返し(せんすもろがえし)では、足の指の間に扇子を挟み、旋回しても水に濡らすことのない泳ぎを披露し、砂浜から拍手が沸いた。
同会秋田優さんは、「日頃の鍛錬を充分に発揮し、来年、再来年も精進を怠らず、がんばってもらいたい」と、会を締めくくった。
副会長の竹原史子さんは、「向井流水法を始めて65年になる。波が静かで心よく泳いだ。また、これから修練したい。なによりも海に感謝している。同水法は、無形文化材でありながら、小樽にはプールがなくて守っていくことに大変な思いをしている。プールの建設を切に願う」と話した。
8月24日・25日は、小樽支部のメンバーも出場し、京都で大会が開かれる。
◎関連記事1 ◎関連記事2