おたる雛めぐり会場のひとつ「手仕ごと・かぎろひ」(錦町13)では、牧野有芽代表と娘の希紅さん手作りの陶器50組と水引10点の男雛と女雛が飾られ、来場者の目を楽しませている。
7段飾りの昭和の雛人形が多い中、粘土や水引を素材にした、牧野さん親子オリジナルの雛人形が誕生している。
店名の「かぎろひ」は、万葉集の歌「東の野に炎(かぎろひ)の立つ見えて・・」が頭にあり、朝日が昇る直前のなんとも言えない美しい色合いから「かぎろひ」と名付けたという。
おたる雛めぐりの参加は2年目。3年前に参加しようと思いつき、その年の夏頃から製作に取り掛かった。昨年は約70名が同店を訪れた。今年は100点の作品を目標に、昨年の雛めぐりが終わってから製作を始めた。現在も陶芸教室へ通い、様々な作品を生み出している。
会場となっている自宅1階の店舗は、以前は飲食店を営みながら、陶芸や織物を学べた。現在は飲食店を止め、素材を活かした手作り作品を展示販売している。雛めぐり会場として、牧野さん製作の陶器の雛人形がセンス良く並べられ、希紅さんは、男雛と女雛を水引で色紙に象って仕上げ、場所を取らずに雛祭りを演出している。
希紅さんは他にも、石川県金沢市で雛飾りとしても使われた「加賀ゆびぬき」を展示販売。色鮮やかな絹糸で刺し込まれたゆびぬきは、繊細な模様が楽しめ、糸の組み合わせや刺し方でいろいろな模様ができる日本の伝統工芸品。
加賀藩時代にお針子が和裁で余った絹糸と布を使って作ったことが始まりで、針仕事が上手になるようにと雛飾りにする風習があった。現在は後継者に受け継がれ、ゆびぬきとしてはもちろん、指輪やアクセサリーとしても使われている。他にも店内には、水引を素材としたピアスやストラップ、革製品、素材を活かしたベンガラ染や土染された織物も展示販売している。また、牧野代表が旅をして集めた奈良の和紙で作った男雛・女雛や金沢の漆塗りの小さな男雛、女雛、雛人形が描かれた土鈴や木目を活かした男雛や女雛が、共に飾られている。
牧野代表は、「日本の伝統的なものが好き。自然の色を再現したり、素材を活かしたものづくりに興味がある。自分達が気に入ったものや惚れ込んだものを、この機会に是非見て楽しんでもらいたい」と話した。
おたる雛めぐり期間中は、来店者へお茶のサービスがある。
「手仕ごと かぎろひ」小樽錦町13-5(バス停「錦町」下車)
0134-22-0940、10:30〜17:00、日・月曜日定休