今年で4回目を迎える「日銀金融資料館”望楼ツアー2013″」が、雪あかりの路の開催に合わせて、2月9日(土)・10日(日)・14日(木)・15日(金)の1日4回、日本銀行旧小樽支店・金融資料館(色内1)で開催している。
同館開館10周年を記念して平日の2日間を加え、予め希望者を募り、応募者全員・150名がツアーに参加する。
日本銀行旧小樽支店(色内1)は、東京駅の赤レンガの設計者・辰野金吾らが設計し、1912(明治45)年7月に完成し、今年で100年の歴史ある建物。外観は、ルネッサンス様式を取り入れ、外壁は、煉瓦の表面にモルタルを塗り石造り風に仕上げている。
屋根には5つのドームを配し、そのうち4つは飾りで、唯1つが人の入れる”望楼”となっている。この「望楼ツアー」は、普段公開していない場所に入れる貴重な機会となっている。当時は、その望楼の窓から職員が港を見下ろし、商船の出入り状況を眺め、経済情勢を分析していたと伝えられている。360°見渡すことができ、かつての北のウォール街と呼ばれた時代に想いを馳せ景色を堪能できる。
10日(日)14:00、通常未公開の2階会議室に15名が集合し、日本銀行札幌支店営業課・小林秀人主査から説明を受けた後、望楼ツアーを開始した。細い螺旋階段を上ると1つ目の部屋があり、そこにある丸窓は、軍艦の司令塔をイメージして作られていると説明。更に上ると360°見渡せる窓がある望楼に辿り着く。螺旋階段を覆っている硝子は歪んでいるが、これは、100年前のままで、職人が手で硝子を伸ばしたための歪みで大変貴重な物。手すりなどには、古代書体で日銀の「日」の文字が刻まれているのも興味深い。
参加者は説明を聞きながら、賑やかだった当時の小樽を想像し、景色を楽しんでいた。再び、会議室へ戻り、回廊へ出て館内の様子を見渡した。1階の床から天井までは10.5mあり、回廊は一周することができ、かつては、警備員が巡回していたと説明があった。また、ライトアップされているシマフクロウは、アイヌの守り神とされ、夜に目が利くところから、”金庫番”という象徴として、館内12体・館外18体、全部で30体が銀行を守っていた。
同会場には、1万札を1億円分にした重量体験をするコーナーや、地下の床下で使用されたレンガと刻印、レンガの壁のコア(内部状況審査のためくり貫いたもの)などを展示している。
札幌在住の男性は「初めて参加し館内を見てまわった。100年の歴史ある建物、銀行の建物を見ようと参加した。柱やフクロウ、壁、天井などどれも興味深かった」と満足した様子だった。
同館は、昨年7月に築100年を迎え、11月まで改修工事を行い、修理葺き替えが完了し、12月1日からリニューアルオープンした。それに合わせ、竣工100周年記念特別展「日本銀行旧小樽支店の建築ー舞台裏をのぞいてみようー」を、3月3日(日)まで、同館1階で、平成14年まで実際に使用されていた金庫の中で開催中。
今回の建物の改修工事で確認した壁の構造やレンガの積み方を紹介している。旧小樽支店は壁はレンガで作られ、外観の仕上げは石造り風にするためモルタルを塗っている。レンガの積み方は、レンガの細い短い方を見せて積む方法を小口積み、長い方を見せる長手積みを繰り替えしている。3種類のレンガの刻印を発見し、ほうき目や菱形、数字が刻み込まれていたレンガを展示している。244万8,500本を使用している。改修工事で確認できた外見だけでは分からない建物の特徴を紹介している。
日本銀行旧小樽支店 金融資料館(色内1-11-6) 0134-21-1111 入館無料
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(月曜日祝日の時は、その翌日以降の最初の平日)
※20名以上の団体は電話予約必要
◎金融資料館HP