"おたるブックアートウィーク2012" 市内7ヶ所で開催


 おたるブックアートウィーク2012が、9月11日(火)から23日(日)まで、市内7ヶ所のギャラリー、飲食店等で開かれている。
 本をモチーフに、様々な作家の個性溢れるアプローチ作品が展示され、本と触れ合い、本について考え、楽しめるイベントとなっている。

 カフェ&フラワーショップ「ヴェールボア」(住吉町11)では、昨年、「絵本の庭」と題してブックアート展を開催した。今年で19回目を迎えるブックアートイベントが東京で開かれ、知人を介してイベントの企画を受け、1件の開催ではなく、市内を散策しながら、鑑賞できるように参加を募ったところ、今年は7会場での開催となった。
 同店では、立体造形や絵本、アクセサリー、消しゴムハンコなどの作家による約30点を展示。本をモチーフにしたアート作品と、本そのものや、本の要素を抽出した作品が並んでいる。小さなチェストの引き出しを開けると、引き出しそれぞれに世界がある作品。遊べる絵本やブックエンド、木から落ちた葉一枚一枚に言葉が浮かび上がり、その葉を模り綴じて本にし、ストーリー性があり夢がある楽しい作品に仕上がっている。
 オーナーの森義仁氏は「東京でブックアートに出展している方や、ブックアートを作ったことのない作家が工夫して作品を出展。個性が見え、作家のジャンルと奥行き、作家の魅力が引き立つ作品展だと思う」と話し、フラワーと硝子作家で妻の智清氏は「昨年から参加し、さまざまな作家の作品を歓迎し、幸せな時間を共有できありがたい」と話した。
 1999年創業のギャラリーと喫茶店「あとりゑ・クレール」(梅ケ枝21)では、オーナーの高橋明子氏と交流のある仲間14名の作家が出展。同店もヴェールボアの森氏と同じ知人から紹介され、このような傾向の展示は3度目となる。市内で7店舗が集まり、相乗効果が期待できるという。
 高橋氏秘蔵のポーランドのイラストレーターユゼフ・ヴィルコン氏の版画1点と原画8点を展示。小樽在住・三宅かほり氏の第22回浜田廣介文学賞受賞作品「うずらのうーちゃんの話」の原画を展示。普段見られない価値のあるブックアート作品展となっている。高橋氏は「作家は、生き方も素晴らしい方々で、作品にもそれが出ている。原画が観られる良い機会となり、多くの方に足を運んでもらいたい」と話した。

 北運河沿いに今年5月にオープンしたメニュー豊富な「シロクマ食堂」(色内3)では、オーナー本間学氏との付き合いのある作家8名の作品を展示。今回、作家に声をかけ、新作が完成し、タイミングよく提供してくれた作品や、手作り絵本、同イベント用に制作したしかけ絵本などの作品を店内に展示している。本間氏は「色々なタイプの作家が集まり、時間があれば是非観てもらいたい。個性ある作家の作品やブックアートのために作ったもの、タイミングよくできた新作など、この機会に観てもらいたい」と話した。
 小樽文学館(色内1)は「J.J’s Cafe」を会場に展示。玉川薫副館長は「本とアートをコンセプトとして文学館で今まで集めたもの、『新旧手作り部数限定本』を展示している」と説明。旧では、昭和28年3月の創刊した「ゑぞ・まめほん」全37巻を展示。発行部数が少なく手が込んでいて、豆本中の名品と言われる。新として、2003年から2012年春までの小樽文学舎製本工房(同館支援団体 )の手作り本30冊を展示。伊藤整の「雪明かりの路」の製本工程を段階を追って展示し、伊藤整の詩集「冬夜」、夏目漱石「坊ちゃん」などの完成品を展示している。