小樽市(中松義治市長)が進める新市立病院建築工事で、異例の2回もの入札中止を受け、設計の見直しを行っていた病院局(並木昭義局長)と株式会社久米設計との協議がまとまり、これを審議する市議会の市立病院調査特別委員会(山田雅敏委員長)が、7月10日(火)13:00より、市役所第2委員会室で開かれた。
同委員会には、市病院局がまとめた「久米設計の設計見直し説明書《概要版》」(資料1)、「新市立病院建設工事の設計見直し及び発注方法について」(資料2)、「建築主体工事の減額項目等一覧」(資料3)、「見直し後の予算額について」(資料4)、「評価項目の一部見直しについて」(資料5)が配られ、これを巡って質疑が行われた。
病院局の資料に基づく説明によると、久米設計は、これまでの入札結果については「再入札の直前になって大手建設会社が2社とも急遽辞退し、予想外の結果となり、非常に困惑しており、応札されなかったことに対して、設計者として非常に重く受け止めております」として、設計及び見積りの見直し協議については、「札幌支社と本社の連携を充分にとり、全社的な体制で取り組み、全社一丸となって鋭意作業を進めた」とした。また、病院局は、市長部局に設置した「設計検証部会」と「発注検討部会」をそれぞれ開き、見直しを行ったもので、最善の努力を尽くしたものとした。
この見直し結果は、先の入札中止での大手業者の辞退理由となった12〜13億の工事費の不足に合わせ、建築主体工事の原設計(52億円)と市況を反映した積算額との乖離分を約10億円と算定した。このうち、50項目に渡る仕様の見直し削減で約6.1億円、別途発注で約3億円を計上し、建築主体工事の見直し予算額は52億9,700万円とした。これに空調・給排水など4つの設備工事でも、各600〜900万円の増額を図った。
これにより、5工事の見直し予算額は、89億4,300万円となり、原設計予定価格88億2,400万円より、1億1,900万円が上乗せされた。これに別途発注の3億円が加算されたことで、結局、市民の負担額は、4億1,900万円が増加することとなった。
仕様の見直しのグレードダウンなどについては、委員から「当初からやらなかったのが問題だ。市民に負担を押し付けることになるだけだ」。見直し予算についても「見込みでやっている印象だ」との指摘がなされていた。
3回目の発注方法は、再入札と同様の 《分離発注》 《共同企業体及び単独企業》 《総合評価落札方式》 《5工事に分割(建築主体、空調、給排水、強電、弱電)》としている。今後のスケジュールは、7月13日建築主体工事の入札公告、8月24日入札執行。7月25日4設備工事の入札公告、9月3日入札執行となっている。
市は、3回目の入札で、今回の増額分が、落札価格で下回る差金が出ることを当てにしており、まさに、綱渡りに次ぐ綱渡りを強いられることになる。病院局にとっては、落ちれば地獄の事態が待っているだけだ。並木局長は「3回目の入札が、120%大丈夫だという自信はない。ただ祈るだけだ」と、神頼みの姿勢だ。
厚化粧をちょっとだけ落とし、薄化粧に変えての3回目の入札で、果して、喰いつく物好き者が出てくるか。大一番の3回目の仕切り直しが注目される。